戦うことを放棄する選手はマドリーに相応しくない。3部クラブに敗れた国王杯、ウーデゴーの退団…【現地発】

2021年02月27日 エル・パイス紙

歴史的番狂わせが起こった理由は?

満を持して帰還したマドリーで結果を残せず、今冬にアーセナルへレンタルさせたウーデゴー。(C) Getty Images

 フットボールはその誕生以来、大衆のスポーツとしてわれわれの感情に訴え、不屈の精神を示してきた。しかしいまファンの間で、「これから」と「これまで」の境界線に足を踏み入れてそのフットボールの持つ本質が失われてしまうのではないかという困惑が広がっている。

 フットボールはまたコントラストを体現する。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長がユベントスのアンドレ・アニェッリ会長と会談を行なっていた。議題は欧州スーパーリーグ構想の枠組み作り。つまりフットボールの「これから」について話し合っていた。しかしその時、肝心のチームがフットボールの「これまで」に思いを馳せるセグンダB(実質3部)のアルコジャーノに不覚を取った。

 アルコイ(アルコジャーノのホームタウン)で起こった番狂わせは、われわれに対立する2つのコンセプトを提示した。一方では、スーパーリーグ構想に反対していた"これまで派"の人間は、嘲笑しながらアルコジャーノを招待チームに加えるべきだと意見するだろう。

 また他方では、スーパーリーグ構想を支持していた"これから派"の人間は、ますますそのアイデアに固執するかもしれない。このような事態が繰り返されることになれば、マイナーチーム同士の対戦が増え、巨額のマネーが動くフットボールビジネスを危機に陥れことになりかねないからだ。

【動画】マドリーが歴史的大金星を献上した劇的なアルコジャーノ戦はこちら
 アルコジャーノにとってはこの大金星は、歴史的な偉業として長く語り継がれるはずだ。翻ってマドリーにとってはさらに悲惨な事態を招く震源地となりかねない。番狂わせが起こった理由はいくつかある。1つ目は弱者であるアルコジャーノが一生に一度しかないこのステージで栄光を掴むために一つ一つ魂を込めてプレーしたこと。

 2つ目は強者であるマドリーが仮に敗れれば、キャリアに汚点を残すという後ろ向きの気持ちで臨んだこと。さらに強者を率いる監督(ジネディーヌ・ジダン)が外交術を発揮し、試合勘の不足している選手を7人スタメンに起用すれば、フットボールは不可能を可能にしてしまう。

 たとえば、シュート5本しか記録していないチームが2得点を挙げ、26本のシュートを放ったチームが1得点にとどまることだ。こうした大失態を犯せば、決まって選手たちの戦う姿勢の欠如を指摘する声が上がる。しかしマドリーが露呈したのはゴール前の致命的なインスピレーションの不足というさらに深刻な問題だった。
 

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