【FC東京】あっさり決壊した青赤の壁

2015年04月19日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

リードした後に守備が曖昧に。

先制しながら敗れた広島戦を振り返り、太田は「最低でもドローで終わりたかった」と述べた(C)SOCCER DIGEST

 完封できれば、リーグ5試合無失点のクラブ記録に並んだ。しかし、浦和と同勝点の首位で臨んだ広島戦で、強固だったはずの"青赤の壁"はあっさり決壊した。
 
 絶好調・武藤の開始35秒弾で先制しながらも勢いに乗れず、11分にドウグラスの強引な突破から柴﨑に同点ゴールを献上。そして終盤の82分には、途中出場の浅野に「宇佐美選手を意識した」ドリブル→切り返しから強烈な一発を食らってしまった(これが浅野にとってはJ1初ゴール)。
 
 G大阪との開幕戦以来となる1試合・2失点は、なにもGK、DFだけの責任ではないだろう。
 
 序盤戦の堅守は、前線から最終ラインまでの"連動"があってこそのものだ。2トップのハイプレス、トップ下・河野の懸命な帰陣、羽生と梶山の気の利いたポジショニング、米本の絶妙なチェイシングが肝になっているわけだが、広島戦では鉄の守備網を張り巡らせようとしても相手の2ボランチ━━青山と森﨑和にひらりとかわされ、中央からもサイドからも攻め込まれる時間帯が続いた。
 
 この日、高橋にスタメンを譲った羽生もベンチから見ていて連動のなさを感じていた。
 
「1-0になって優位に進められる形になったはずなのに、そこからの守備が曖昧だった。前からアグレッシブに行くのか、引いて構えてカウンターを狙うのか、そのあたりがチームとして統率されていなかった印象です。
 
 ボールを取りに行く時に確信を持ってスイッチを入れて連動するのか、何人かはいなされるから、やっぱり後ろにいようかなというスタンスの選手もいたし、そういうところがあやふやだったと思います」
 
 ベテランMFの言葉は的を射ている。実際、森重をはじめピッチに立った選手のほとんどが「守備がハマらなかった」と証言。ハイプレスが無効化されてボールを奪う位置が低くなると、いざ攻撃を仕掛けようという局面でもスムーズに展開できなかった。
 
 左SBの太田は問題点をこう指摘する。
 
「中央のエリアで中途半端な縦パスを入れるより、サイドから崩したかったのでもっとボールが欲しかったです。確かに自分もミキッチやドウグラスに警戒されていて、なかなかフリーになれませんでしたが、それでもサイドでタメを作りたかった。そうしないと中が空かないし、相手も引っ張れない。
 
 結局、今日は真ん中でタメを作ろうとして失敗して、カウンターから失点しています。難しいことをしないで早めにクロスを上げるとか、割り切った戦い方が必要だったと思います」
 
 そんな太田に「負けた次の試合こそ重要なのでは?」と訊くと、次のような答が返ってきた。
 
「次もそうですけど、広島戦みたいな試合を落としちゃいけないと思います。勝点3を獲れなくても、相手に勝点3を与えてはいけない。ホームゲームだったので、最低でもドローで終わりたかったです」

次ページ羽生の静かなる叫び。「広島戦で勝てれば…」

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