「偉大な王者たちがなぜ…」元ミランのセードルフが黒人監督に対する“差別”を糾弾「我々に平等などない」

2021年02月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

「差別意識が根底にある」と訴える

ミラン時代には本田を指導するなど日本でも話題となったセードルフ。 (C) Alberto LINGRIA

 往年の名手が放った言葉が話題を呼んでいる。

 現地時間2月22日、イタリア紙『Gazetta dello Sport』のインタビューに応じた元オランダ代表MFのクラレンス・セードルフは、サッカー界における黒人監督が抱える問題を口にした。

 現役時代は天才MFとして鳴らした。1992年にアヤックスでプロキャリアを始めると、その後はレアル・マドリーやミランなどで活躍。4度のチャンピオンズ・リーグ制覇を経験する偉大なキャリアを歩んだ。

 2014年1月に現役を引退したセードルフは、当時不振を理由にマッシミリアーノ・アッレーグリ監督を解任したばかりだった古巣ミランの指揮官に就任。わずか4か月で解任された後も、中国の深センFCやスペインのデポルティボ、カメルーン代表の監督を歴任してきた。

 現在はどこも指導していないセードルフは、ヨーロッパ・サッカー界に黒人監督が少ない現状を「無意識かもしれないが、差別意識が根底にある」と訴えた。

「私は12年間もイタリアでプレーした経験がある。さらにミランの指揮官としても非常に良い仕事をしたと思う。だが、それ以降はトップクラブからまったく声が掛からない。私の出身国であるオランダからもまったくないんだ。選考基準はどんなものなのだろうか。なぜヨーロッパのサッカー史を刻んだ偉大な王者たちが、そのヨーロッパで監督としてチャンスを得ることができないのか」

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 さらに「アンリがなぜカナダに飛ばされたと思う?」と皮肉交じりに持論を続けたセードルフは、「黒人の指導者たちには平等など与えられないからだ」とも指摘した。

「データを見れば、サッカー界における重要な役割に就いている黒人がいないのは一目瞭然だ。それは社会全体の一般論にも通じることだね。私は、何かを変えられる立場にある人たちを筆頭に、我々全員が、すべての門戸を開き、能力主義の世界を作り上げていく責任を負うべきだと思うよ。なぜならより良い結果は、まさに人々の多様性を通じて得られるものであるからだ」

 サッカー界が今以上に多様化していくことを求めたセードルフ。果たして、レジェンドの切実な声は何かを変えるきっかけになるのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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