【CLポイント解説】幸運なPKと成熟した試合運び ユベントスが4強へ王手

2015年04月15日 片野道郎

カラスコのシュートが決まっていれば…。

1)最初の15分はモナコの思惑通り
 
 モナコは、快足FWマルシアルを最前線に残し、トップ下のモウチーニョがピルロをマーク、残る8人は4+4のコンパクトなブロックを低めの位置に構築するという、ラウンド・オブ16のアーセナル戦と同じカウンター狙いの布陣でこの試合に臨んだ。
 
 組み立ての始点となる2CBをフリーにし、ピルロにも軽くプレッシャーをかけるだけでボールを持たせておいて、そこからの縦パスに狙いを定めてカット、そのまま一気に逆襲に転じるというのが基本戦略だ。
 
 ユベントスは絶対有利という下馬評に加えて、02−03シーズン以来12年ぶりとなるCLベスト4という目標が見えたことでかえって萎縮したのか、はたまた焦りからか、立ち上がりからパスミスが目立ち、中盤でボールを奪われて逆襲を浴びる場面が何度か続いた。
 
 10分には敵陣深くに攻め込んだところで与えたスローインからマルシアルに50メートルの独走を許し、並走してゴール前に詰めたカラスコに決定的なシュートチャンスを与える。シュートはGKの正面に飛び、ブッフォンの確実なセーブで事なきを得たが、もしこれが決まっていたら試合はまったく別の展開になっていた。
 
 さらにその1分後にもカラスコがカウンターから抜け出して際どいシュートを放つなど、序盤はモナコの思惑通りに進んだ。
 
2)リズムを落として主導権を手中に収めたユベントス
 
 アッレグリ監督は、攻め急ぎの色が濃く凡ミスが目立つチームに対し、縦パスを急がずに落ち着いてボールを回し、コンパクトな陣形全体を押し上げてから仕掛けるように指示を送る。
 
 ユベントスは4−3−1−2システムの長所である中盤センターでの数的優位を活かし、そこに前線から下がってきたテベスも積極的に絡んでボールを動かすことで中盤を支配。15分過ぎからはモナコを自陣に押し込め、主導権を握って試合を運ぶ態勢を固めていった。おそらくこれが本来のゲームプランだったはずだ。
 
 26分にはテベスが、ペレイラが左から送り込んだクロスにファーサイドで合わせる決定機を得たが、シュートはGKの正面。45分にはテベスの縦パスに合わせてビダルが裏に抜け出すも、GKとの1対1で枠を捉え切れず。
 
 前半はボール支配率65対35とユベントスが攻勢に立ったものの、この2つの決定機以外は最後の30メートルで攻めあぐみ、0-0でハーフタイムを迎えた。
 
3)幸運なPKでユベントスが先制
 
 試合が動いたのは57分。ピルロが中盤から繰り出した裏へのロングパスに走り込んだモラタが、後手に回って追走するR・カルバリョにペナルティエリア直前で軽く引っかけられて転倒した。
 
 ファウルがエリア内か外かは微妙なところだったが、クラーロベツ主審の判定はPK(とイエローカード)。前半に決定的なシュートを外したビダルが自ら進んでこのPKを蹴り、しっかり決めてユベントスに先制点をもたらした。
 
 
 
 

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