“ミラン化”が急加速! ベルルスコーニ、ガッリアーニがモンツァに描く夢物語「セリエAの舞台で“ダービー”を」【後編】

2021年02月13日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

元ミランの選手を集めてセリエBで旋風を巻き起こす

モンツァでプレーするバロテッリ(左)とボアテング。2人とも元ミランの選手だ。(C)Getty Images

 クラブの編成を担うのがガッリアーニだけに、チームがミラン色になるのも自然の流れだった。

 買収から1か月後の18年10月には、元ミランのクリスティアン・ブロッキを指揮官に任命し(80年代から90年代にかけてミランに黄金期を築いたアリーゴ・サッキにも打診していた)、19年1月にはミラン・ユース出身のマルコ・フォッサーティら15人を獲得。1年目こそセリエC・グループAで5位に終わるも、2年目の19-20シーズンは夏に元ミランのガブリエル・パレッタらを補強し、開幕5連勝と好スタートを切って首位に立つ。そしてそのままトップの座を守り、コロナ禍でリーグ戦は打ち切られたものの、セリエB昇格を果たしたのだった。
 
 ベルルスコーニ体制3年目の今シーズン、ガッリアーニは夏の移籍マーケットで積極的に動いた。

 ズラタン・イブラヒモビッチにも声を掛け、また17年12月に現役を退いた元ミランのカカにも選手復帰のオファーを送り、最終的には、ケビン=プリンス・ボアテングを獲得。さらに12月には昨シーズン後にブレッシャを退団してフリーだったマリオ・バロテッリも迎えて戦力を向上させている。この2人も、言うまでもなく元ミランだ。
 
 今シーズンは17試合を終え、8勝6分け3敗で昇格プレーオフ圏内の4位につけている(※20節終了時点で2位。自動昇格は1~2位で、3~8位が昇格プレーオフを戦い、勝者1チームも昇格)。セリエCから昇格して1年目ながら、もし2年連続で昇格を果たせば、初めてのセリエAの舞台でミランとの"ダービー"が実現する。このロマンチックな物語は世界から大きな注目を集めるに違いない。

【動画】インテルとミランで異彩を放ったバロテッリのゴール集はこちら!
 ベルルスコーニは、「どちらのクラブのマフラーも身に付けない」と笑うが、胸の内ではその瞬間を心待ちにしているはずだ。一方のガッリアーニは事あるごとに、愛情を注ぐ両クラブの対戦を「夢」と公言している。ただ、両者の思い描く理想は、ミランとの対戦だけでは終わらない。

 コロンボ前オーナーによると、ベルルスコーニは外国籍選手が幅を利かすカルチョの現状を嘆き、各年代のイタリア代表へのタレントの一大供給源となるようなチームを望んでいるという。

 さらにベルルスコーニは買収後から、理想の選手像についても言及している。彼が望むのは、「髪形や服装を整え、髭やタトゥーがなく、ファウルをしたら相手に謝罪し、主審には紳士的に接する模範的な選手」だ。

 これは理想論に過ぎないかもしれない。しかしベルルスコーニは信じている。選手たちには直接語り掛け、SNSを通じても、こう発信している。
「勇敢に闘い、困難を乗り越えて勝利を手にするのは、信じる者だけだ」

 ミランでの晩年、ベルルスコーニはこれまでのような一族経営では、財政的に持続可能なクラブ運営は難しいと憂いていた。そんな彼が隅々まで目が行き届くような規模のクラブで、旋風を巻き起こそうとしている。

「古き良き時代」を築いたベルルスコーニとガッリアーニの夢物語から目が離せない。

文●中村大晃
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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