【FC東京】首位タイに浮上も、仮に武藤が移籍すれば…

2015年04月13日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「武藤は新しい環境に適応できるだけの賢さを持っている」(フィッカデンティ監督)。

反則まがいのタックルで倒されても冷静さを失わなかった武藤。ハリル御前で決勝点と貫録を見せつけた。 写真:田中研治

 チェルシーからの正式オファーが公になって初の公式戦、しかも日本代表のハリルホジッチ監督が視察するなか、"時の人"武藤が64分に地面へ叩きつけるようなヘッドで決勝点を決めた。

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「いろいろとメディアに取り上げられるなかで、あいつ(武藤)にとって大きな試合だった」(太田)アウェーの湘南戦で、プレッシャーをものともせず、FC東京を首位タイに引き上げる値千金の一撃を打ち込むとは、さすが千両役者である。貫録を見せつけた武藤は言う。
 
「もちろんプレッシャーはありましたが、自分がゴールを決めなくてもいいぐらいのリラックスした気持ちでプレーしました。

 前で身体を張ってチームのために動いていれば、ラッキーボールが来る可能性もあるかなと思っていたら、太田選手から素晴らしいクロスが入ってきて。自分の力とチームの力が合わさった1点だったと思います」
 
 ただ、そのゴールとともに見逃せなかったのが、何事にも動じない武藤のクールな振る舞いだった。立ち上がりからファウルまがいのタックルで幾度となく倒されても、決してキレずに最後まで必死にボールを追っていたのだ。
 
「削られる場面は多かった。でも、そこでいちいち苛立ってしまうと自分の良さ──繊細さがなくなってしまいます。今日は淡々とプレーできて良かったと思います」
 
 前線で身体を張りつつ、勝負どころで決定的な仕事もする。「下がってボールを受けるだけでなく、裏のスペースでもちゃんともらえていたし、少しずつFWらしくなってきたのかな」と笑顔を見せた武藤に対し、フィッカデンティ監督も賛辞を惜しまなかった。
 
「今日のプレーを見れば分かるとおり、非常に集中できている。6月までこの調子を維持してくれると信じています。

 どこの国のリーグに行くかは現時点で分からないですが、もしチェルシーに行ったとしても、彼は新しい環境に適応できるだけの賢さを持っています。グラウンドの外での対応(言葉の問題など)に最初は苦しむかもしれませんが、それでも彼ならやってくれると思います」
 
 この日、チェルシーへの移籍話については武藤本人も次のように答えている。
 
「(回答期限が4月12日という)情報がどこから漏れたのか知りませんが、なにも考えていないです。特に結論は出していません。

 とにかく自分がどこに行けば成長できるか、しっかりと将来を見据えて考えたい」
 
 武藤はいつ決断するのか──。それと同時に頭をかすめるのは、仮に武藤がチェルシーに移籍したとして、その後のFC東京がどうなるのか、という疑問だ。

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