今大会初ゴールは決勝での起死回生の同点弾!山梨学院「10番」野田武瑠が背負ってきた“理想像”【選手権】

2021年01月12日 安藤隆人

前田大然、白崎凌兵…同校歴代の10番とはタイプが違う

青森山田のMF宇野禅斗(右)とマッチアップする山梨学院・野田(左)。写真:徳原隆元

[高校選手権 決勝]山梨学院2(4PK2)2青森山田/1月11日/埼玉

「歴代の先輩たちと比べるとタイプの違う10番だとは思いますが、やっぱり10番はゴールという結果を残さないといけない立場なので、絶対にゴールを決めたかった」

 山梨学院の10番を背負うFW野田武瑠の今大会初ゴールは、青森山田との決勝戦で生まれた。1-2で迎えた後半33分、敵陣でFKを得ると、MF谷口航大(2年)が素早くリスタートしてFW笹沼航紀(3年)へパス。笹沼は後方から追い越してきたMF山口丈善(3年)の動きを見逃さず、DFの股を抜く芸術的なスルーパス。この動きに対して、野田は山口の外からサポートに入っていた。

 山口の飛び出しに対して、GK韮澤廉(3年)が前に出てコースを塞ぐと、山口に身体を入れたDF内田陽介(3年)がスライディングで掻き出した。だが、掻き出した先には野田が待ち構えていた。

「自分のところに(ボールが)こぼれてきたので、無我夢中で決めました」と本人は言うが、倒れている韮澤と内田に当てないように、かつゴールカバーに入っていたDF藤原優大(3年)の位置もよく見て、左足インフロントで浮かしたコントロールシュートをゴール左隅に流し込んだ。

【動画】野田武瑠が決めた今大会初ゴール!青森山田戦、起死回生の同点弾!
 
 山梨学院の10番と言えば、前田大然(横浜F・マリノス)、山口一真(水戸ホーリーホック)、加藤拓己(早稲田大3年・2022シーズン清水エスパルス内定)、宮崎純真(ヴァンフォーレ甲府)などスピードとパワーで貪欲にゴールを狙っていくストライカータイプが多い。

 しかし、野田はボールキープ力と展開力に秀いで、最前線に張ったり、裏を貪欲に狙うタイプではなく、中盤に落ちてゲームを作るタイプのアタッカー。どちらかというと歴代10番の1人である白崎凌兵(鹿島アントラーズ)に近いタイプだが、白崎も高校時代は貪欲にゴールを狙うストライカーだった。
 

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