【選手権展望】矢板中央vs青森山田|ユース年代の横綱に、大会No.1GKを擁する堅陣で挑む!<準決勝 第2試合>

2021年01月08日 安藤隆人

強固なブロックを敷かれても慌てず騒がずの青森山田

準決勝第2試合で激突する矢板中央(左)と青森山田(右)は互いに2年連続の4強入り。好勝負の気配が漂う。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

選手権準決勝・第2試合
矢板中央(栃木)vs 青森山田(青森)
1月9日(土)/14:20/埼玉スタジアム2002


 高校選手権準決勝の第2試合は、第95回大会と97回大会を制し、過去5年で4度のベスト4進出という驚異的な結果を持っている青森山田と、過去3年で2度のベスト4進出を誇る矢板中央との『常連対決』となった。

 青森山田にとっては昨年決勝で敗れた悔しさを晴らすために、矢板中央にとっては過去3度跳ね返され続けた『ベスト4の壁』を打ち破るために――。どちらも是が非でも勝ちたい一戦は、お互いに一歩も譲らないバトルが局面で繰り広げられる強度の高い試合になりそうだ。

 青森山田は高校サッカー界だけでなく、ユース年代全体を見ても横綱級の存在。それゆえに青森山田を相手にすると、相当なモチベーションと徹底した守備戦術で臨んでくる高体連のチームは多い。実際に初戦の広島皆実は6バックの前に3ボランチを置くという超守備的布陣で臨み、前半をスコアレスで折り返した。

 だがこの時、青森山田の選手に焦りの色は一切なかった。先制点を焦るあまりむやみやたらに攻め込みたくなる状況だったが、彼らはサイドバックとサイドハーフのどちらかを6バックの脇に置き、そのもう一方が松木玖生(2年)と安斎颯馬(3年)の2シャドーと連動して、ディフェンスの間のスペースを積極的に狙った。

 この時の中央の距離感も絶妙で、相手の6枚の中間ポジションを巧みに取りながら、2バックの状態になっている藤原優大(3年)と秋元琉星(3年)のCBコンビが、フリーの状態の味方にボールをテンポ良く配って、広島皆実の守備網にジャブを打ち続けた。

 壁をこじ開けた先制点も後ろでのポゼッションから、藤原が3ボランチの脇を取った左サイドハーフの小原由敬(2年)へ縦パス。小原は中へ持ち出し、アンカーの宇野禅斗(2年)とのパス交換から、6バックの左が食いついてきた瞬間に背後を取った右サイドバックの内田陽介(3年)を見逃さずに、右足で正確なフィードを送り込む。内田は正確なトラップからマイナスに折り返すと、完全にフリーとなった松木が豪快に左足一閃。完璧な崩しで均衡を崩した。

 3回戦の帝京大可児戦は3-1から1点を返されて、相手の流れにあったが、前掛かりになった相手の隙を見逃さずにFW名須川真光(2年)のインタセプトからのスルーパスを、安斎が抜け出してPKを獲得。相手の反撃を寸断して最終的には4-2で勝ち切り、流れに応じた臨機応変な戦いぶりで勢いをつけた。

【準々決勝PHOTO】青森山田4ゴールで堀越を圧倒!!3年連続ベスト4進出!

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