パリSGの新指揮官ポチェティーノが、直ちに乗り越えるべき“4つの課題”。レオナルドSDとの関係は…【現地発】

2021年01月05日 結城麻里

行く先は天国か地獄か? フランス中が興味深々

現役時代にプレーした古巣へ監督として帰還したポチェティーノ。(C)Getty Images

 新たに監督となったマウリシオ・ポチェティーノ率いるパリ・サンジェルマンが現地時間1月3日、新年初練習を行なった。

 フランスではクリスマスから招聘が規定路線になっていたため、29日の正式就任までの間にこのアルゼンチン指揮官の注目点が数多くピックアップされていた。現地のファンが最も期待感を膨らませているのは、その人間性だ。

 現役時代のポチェティーノとプレーしたパリSGのOBジェローム・アロンゾは、「(パリの)ロッカールームにヒューマンなスケールをつけ直してくれるのを期待している」(現地紙『L’EQUIPE』)と語り、こう強調した。

「何かが欠けているんだよ。彼こそが、その"欠けている鎖の輪"かもしれない。いまのパリSGは天才少年のスクールみたいに見える。汗が必要だ。彼は努力の味、労働の味をもたらせると思う」

 ヒューマンで同時に天性のリーダーシップをもつポチェティーノには、師事した選手たちも敬意を表している。また、フランスではディエゴ・マラドーナとの微笑ましいエピソードも語り継がれている。

 21歳のポチェティーノが生き神様のようなマラドーナと友情を結び、「テレビを消してきてよ」と言った。そして神様に「物怖じしない性格だ。マウリシオは俺にテレビを消しに行けと言ったんだから。ヤツ、俺に命令しやがった!」と唸らせたエピソードだ。
 
 だがそれにも増して注目されているのは、メソッドだ。何しろマルセロ・ビエルサの愛弟子である。

 フランス代表の本拠地クレールフォンテーヌではある日、トッテナムのムサ・シソコとタンギ・ヌドンベレが大きな話題を振り撒いたという。ふたりがポチェティーノのトレーニングについてリアルに語り聞かせたため、チームメイトが盛り上がったというのだ。トレーニングがあまりにきついため、「○○はゲロゲロ吐き、○○は眩暈を起こして……」という話だった。

 本当にそんなメソッドがいまのパリで通用するのか――。これが人々の最大の関心事になっている。だが、かつてポチェティーノに師事したバンジャマン・スタンブリはこう断言する。

「ネイマールとキリアン・エムバペが目指すのは勝利。彼らはハイレベルのコンペティターだ。だから努力を通してこそ勝利が得られるのだと納得すれば、彼らも努力するはずだ」

 だが、現在のパリSGでは、直ちに4つの課題が求められてくる。第1に、グループをすぐにアスリート面で復活させる課題だ。

次ページ2月にはCLバルサ戦も控えている

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