【FC東京】もどかしさと戦った昨季を乗り越え… 石川直宏、最下層からの復活劇

2015年04月05日 サッカーダイジェスト編集部

椎間板ヘルニアを患い、昨季はシーズンの大半をリハビリに費やす。

490日ぶりのゴールを決めた石川。同じ箇所を負傷した米本とのホットラインがつながった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 リーグ戦では490日ぶりとなるゴールの瞬間、ナオこと石川直宏はサポーターからの歓喜の声を全身で受け止めるように両手を広げた――。
 
 4月4日、第1ステージ・4節の甲府戦。チームの象徴でもある33歳のベテランが、リーグ戦では2013年9月21日の名古屋戦以来となるスタメンに名を連ねた。
 
 見せ場は開始15分に訪れた。相手のフィードを太田宏介が頭でストップ、セカンドボールを拾った米本拓司がすかさずハーフウェーラインからふたりのミーティングポイントにロングボールを送る。そして、そのパスが送られる直前に、米本の意図を察知した背番号18が、右サイドからダイアゴナルにエリア内へと動き出していた。
 
「ヨネ(米本)が顔を上げてからでは、遅い。ヨネとは、(前十字じん帯損傷と半月板損傷の)同じ怪我をしているので、通ずるところがあったかもしれない。それにあそこを見ているのは分かっていたので信じて走った」
 
 あのタイミング、あの場所しかない。"阿吽の呼吸"で、エリア内中央で落ち合うと、ナオは右足でワントラップ。左に流れながら腰を回転させて左足を振り抜いた。
 
「あの形でゴールを決めたこともあったので、ゴールは見えていなかったけど、身体に任せて打った」
 
 結局、このゴールが決勝点となり、FC東京は開幕から公式戦無敗をキープし、2勝2分けで2位に浮上した。殊勲の活躍を見せたナオは、「昨年はもどかしい時間を過ごしたが、その積み重ねがこの結果になって出たと思う」と充実の表情で話した。
 
「積み重ねだからね」
 それが昨年から繰り返しナオが口にしている言葉だった。
 
 2014年のシーズンは、ナオにとって試練の1年になった。腰椎椎間板ヘルニアに悩まされてシーズンの大半をリハビリに費やし、リーグ戦の出場は2002年途中にFC東京に加入後、最少となる3試合。公式戦のゴールもゼロに終わった。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・4節

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