「何やってんだ…」4発逆転勝利で8強進出も青森山田の“闘将”藤原優大が「不本意」と嘆いた理由【選手権】

2021年01月03日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

藤原は2ゴールでチームに貢献も…

2点を決めた藤原(5番)は、完勝にも厳しい口調で不満をこぼした。 写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権3回戦]青森山田4-2帝京大可児/1月3日(日)/駒沢陸上競技場

 終わってみれば、4点を決めての完勝。だが、青森山田イレブンの顔は一様に曇っていた。

 1月3日に駒沢陸上競技場で行なわれた高校選手権・3回戦、青森山田(青森)と帝京大可児(岐阜)の一戦は、開始早々に動いた。先手を奪ったのは後者。前半7分にMF遠藤楓(3年)のパスを受けたMF三品直哉(3年)がネットを揺らしたのだ。

 電光石火の攻撃から失点した青森の雄は、試合後に黒田剛監督が「立ち上がりが1回戦に続いて硬かった」と振り返ったように、ビハインドを背負ったことで後手に回る展開に持ち込まれてしまう。

 その悪い流れを一掃したのが、キャプテンのDF藤原優大(3年)だった。前半13分に左からのロングスローをニアサイドをすらしてファーサイドへ流し込んで値千金の同点ゴールを決めると、その後もチームを最後尾から鼓舞した。

 そんな闘将の姿に触発され、次第に攻勢を強めた青森山田は、イニシアチブを握るようになる。そして前半39分にMF松木玖生(2年)の一撃で逆転すると、後半20分にはDF秋元琉星(3年)がロングスローの流れからこぼれ球をねじ込んで2点差とした。

 しかし同22分に速攻から大森に決められ、再び帝京大可児の勢いに守勢を余儀なくされた青森山田。だが、後半アディショナルタイム1分に獲得したPKを藤原がど真ん中へ蹴り込んで、なんとか難局を乗り切り、3年連続で選手権ベスト8入りを決めた。

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 苦しい試合を勝ち切るあたりは、流石、優勝候補と言えるパフォーマンスだったが、試合後のインタビューで「不本意ですね」と自分たちの戦いを責めたのは、2ゴールを決めた"闘将"藤原だった。

「先制されてリードされる展開となったのが、これまでに少なかったので焦りはありました。その後に逆転もできましたけど、また失点してからは守備的になった。1回戦から大会前に見せていた僕ららしさが見せられていないのは、本当に不本意です」

 では、現状の課題はどこにあるのか。藤原は「守備に尽きる」とキッパリと言い切っている。

「守備の強度がまだまだ足りない。それに尽きると思う。僕が入学してから3年間、山田のベースとして切り替えのスピードとプレスの強度をやってきた。その中で、この舞台に立ってそれができていない。今までやってきたことの半分も出せていないし、本当に『何をやってんだ』と思う。もう一度、意識を高めるところから見つめ直さないといけない」

 4点を奪って勝利してなお、己を律し、強い言葉をチームに投げかけた藤原。そんなキャプテンの姿に青森山田の強さを見た。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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