堀越の170センチのストライカーが魅せた“嗅覚”。ゴールの秘訣は野球少年だった過去にあり【選手権】

2021年01月02日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

29年ぶりの全国の檜舞台で本領発揮

先制弾を決め、チームに落ち着きをもたらした堀越の尾崎が、そのファインゴールの秘訣を明かした。 (C) SOCCER DIGEST

[高校選手権2回戦]堀越 1(4PK3)1 大社/1月2日(土)/駒沢

 PK戦までもつれ込んだ激闘を動かしたのは、目の覚める電光石火の一撃だった。

 ともに今大会初戦となった堀越(東京A)と大社(島根)の一戦は、前者が後半39分に同点に追いつかれながらもPK戦を制して、全国大会では29年ぶりとなる白星を挙げた。

 久々の全国の舞台で「チームに緊張があって、想像以上に難しかった」(佐藤実監督)という堀越だったが、開始早々に均衡を破り、主導権を奪った。ファインゴールを決めたのは、3年生FWの尾崎岳人だ。

 前半5分、「後ろにいる味方からのボールを信じて走るだけだった」と語る尾崎は、CB斎藤光(3年)が前線へ蹴り込んだロングボールに呼応。相手DFとGKの間に落ちたボールに素早く駆け出し、最後は身を投げ出しながらヘディングで渾身のシュートをねじ込んだのである。
 
 身長170センチと決して上背があるわけではない。それでも敵ゴール前でのチャンスを見逃さず、球際の強さも発揮したストライカーのワンプレーには、点取り屋としての嗅覚が感じられた。

 金星の立役者ともなった尾崎は、「入り方は難しかった」と全国大会ならではの緊張を口にしながらも得点シーンについて、「練習でもやっていた形だった」と冷静に回想。そして、局面で発揮した嗅覚の"秘訣"を明かした。

「自分は小学生の時に野球をやっていたんです。だからボールの落下地点に入るのは慣れていました。相手よりも先に落ちてくるところを予測して動ける。そういう感覚というのはFWをやるにあたって活きていると思います。あとは後ろからのパスを信じて走るだけでした」

 全国の檜舞台で本領を発揮した尾崎。値千金のゴールは、野球少年だった頃に磨いたセンスの賜物だった。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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