「こんな選手はそういない」久保建英から“居場所”を奪った驚異の18歳、ジェレミ・ピノとは何者か? なぜバルサの誘いを蹴ったのか【現地発】

2020年12月29日 エル・パイス紙

クラブ関係者もこぞって絶賛

このジェレミ(左)の活躍とともに、久保の出場機会が減っている。(C) Getty Images

「サッカーは待ってくれない。すぐに活躍する選手が求められる」

 タケ・クボ(久保建英)のプレータイムが減少している理由を正当化するかのようなこのビジャレアルのウナイ・エメリ監督のコメントは、同時にジェレミ・ピノに対する賛辞でもある。

 磨けば磨くほど輝きそうな原石は、クボが享受するはずだった主役の座を奪おうかという勢いを見せている。事実、ジェレミがアピールを見せる中、久保はラ・リーガのここ2試合連続、出番なしに終わっている。

「試合に臨む気持ちが素晴らしい。競争心が強い。困難が大きければ大きいほど、ポテンシャルを発揮するタイプだ。子供の頃、ストリートで育んできたサッカーの本質を体現している」

 ビジャレアルのカンテラ(下部組織)の指導者であるナンド・マルティネスは、かつての教え子についてこう評する。

 さらに着目するのが、天性のインテリジェンスに裏打ちされた分析力だ。「常に周囲の動きを頭に入れながらプレーしている。自らの持ち味をチームに還元できるのは観察力の高さの賜物だ」と語ったマルティネスは、プロ意識の高さについても賞賛する。

「トレーニング、食事、休養とサッカー漬けの毎日を過ごしている。ジェレミのような選手はわれわれ指導者にとっては贈り物のようなものなんだ」

動画】久保のライバルであるジェレミ・ピノ決めた圧巻のゴラッソはこちら!
 クラブの関係者の口からも賛辞の言葉が次々に飛び出す。

「自分に厳しく、野心が強い。練習でもいいプレーができなければ、怒りの感情を出す。素晴らしいのがそこで諦めないこと。ドリブルも成功するまでトライし続ける。相手を抜けば、即シュートチャンスに繋がることを理解しているんだ。失敗しても動じないのはそれだけ自分の能力に自信を持っているからだろう」

「万能アタッカーだよ。左右のウイングに加え、フォワードもこなす。足下で受けることもスペースで受けることもできるし、 ワンタッチコントロールで相手をかわすといった芸当もできる。数メートル四方のスペースがあれば、果敢にドリブルを仕掛ける。これだけのバリエーションが揃った選手はそうはいない」
 

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