【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「選手たちの本音からミランの根本的問題が見える」

2015年04月01日 マルコ・パソット

アジアカップで変わってしまった本田。今回の代表戦の後には?

アジアカップ以降はミランで苦しい日々を過ごしている本田。パソット記者の言う通り、今回の代表戦はリフレッシュの機会となっただろうか? (C) SOCCER DIGEST

 代表戦があって本当に良かった。今、本田圭佑はそう思っていることだろう。アシスト、ゴール、ファインプレー、そして何より、明確な方向性と、戦術を持ったチームに、自分を理解してくれるチームメイト……。
 
 今回の代表戦での日本は、バランスが取れたいいプレーをしていた。本田自身も、チームに新たな風を招き入れ、冷静さを取り戻したようであった。
 
 とはいえミラネッロでは、ミランで好調だった本田を潰してしまったのは、アジアカップでの日本代表チームだと思っている。この考えに確固たる証拠は存在しないが、データからは大会前後の本田の明らかな変化が読み取れる。
 
 オーストラリアに行くまでは本田は、ミランの要だった。いや、今シーズンのサプライズとさえ言っても良かった。しかし、アジアカップで全ては変わった。昨シーズンの本田が「双子の兄弟」だったなら、今冬に戻ってきたのは本田の「質の悪いコピー」だった。
 
 もちろん、ミランの不調の全てが本田のせいというわけではない。責任はチーム全体にある。なぜだかは分からないが、ある時点から選手全員が骨抜きになってしまった。決して、誰かひとりの選手の問題ということはない。
 
 こうした状況のなかでは、ロッカールームの空気も重くなり、それぞれが自信を失うことにも繋がる。そうなると彼らは、いったいどうすれば自分の気持ちを鼓舞できるのか分からなくなってしまい、正しいメンタリティーで敵に向かうこともできなくなってしまっている。
 
 また特に顕著なのは、選手たちの気持ちが、急速にフィリッポ・インザーギ監督から離れつつあることだ。
 
 私はこの数週間、非公式なかたちでミランの何人かの選手と話をしてきた。互いの意見を述べ合い、時にはちょっとした言い合いになる時もあった。この場合、誰と話したかというのかはさほど重要ではない。重要なのは、彼らが語ったその内容だ。
 
「最近では、心静かにピッチから降りられることは非常に珍しい」
 
「空席の目立つサン・シーロでプレーするのは辛いし、抗議のため無人となったクルバ(応援席)を見るのはもっと辛い」
 
「ミラニスタの心を取り戻したいが、同時に彼らが抗議する気持ちもよく分かる。なぜなら今のミランは、最後のスクデットからたった5年しか経っていないというのに、もはやかつての面影は全くなく、欧州で戦うだけの力もないからだ」
 
 
 
 

次ページ選手は将来を悲観し、できれば移籍したいとさえ考えている…。

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