自らの経験と“プロの思考”を未来のGKへ。高木義成が始める新プロジェクト「GK PORT」に懸けた想いとは

2020年11月27日 サッカーダイジェスト編集部

日本のGK界に一石を投じるべく――

新事業を立ち上げた高木義成。現役時代はGKとして名古屋、東京V、岐阜で活躍した。(C)LastStand

「全国のGKが『今日のメソッドどう思う?』『イマイチじゃね?』みたいな会話してたら良いよね(笑)」

 引退後2年半の時を経てサッカー界の現場に帰ってきた高木義成は、無邪気な笑顔を浮かべてそう語る。サラリーマン生活で多くの社会勉強を経験し、自分という人間を見つめ直した男はここから、日本のGK界に一石を投じるべく一大プロジェクトをスタートさせる。

 自分が社長となって立ち上げた「合同会社LastStand」で展開するのは、「GK PORT」という有料オンラインコミュニティだ。そこに置いてある"商品"は自らの経験を基に組み上げた「高木式GKメソッド」という独自のキーパー理論。「Jリーグを経験したGKたちの本気が見えるってことでもある」と自負する新たなスタンダード確立のため、男は大海原を目指す。

「GK PORT」はその名のごとく、"港"である。YouTubeやインスタグラムなど各種メディアも駆使して高木式GKメソッドは公開されているが、それはあくまで「さわり」に過ぎず、かと言って浅い代物というわけでもない。きっかけは広くあまねく、興味を持ったら深みを提供する。

 12月から有料コンテンツとして始まるGK PORTは知っているようで知らなかったGK技術の真髄に触れることのできる、無二のサービスになる。「GKスクール的なものの仕組みではなく、オレの経験自体を買ってもらって、全部自分という"船"に積んで持って行ってもらうようなイメージ。欲しいものは全部お渡ししますよ」と、高木は気前よく語る。脱サラした現在の職業は週3回の日本体育大学サッカー部GKコーチと、「LastStand」社長の二足の草鞋。将来を保証するものは何もないが、10年来のアイデアだったという事業を立ち上げたことで、その目は現役さながらに輝いている。
 高木式GKメソッドの独創性は、ひとえに「誰かが正しい、誰かは正しくない、ではなく、プロのGKたちはこういう技術の下にやっているんですよ、だからこうやって練習しませんか」という理論体系にある。こうすればいい、ではなく、プロとしてやってきたGKはここまで考えている、追求しているという考えを伝えることで、日本のGKの可能性を引き出そうというのが真の目的だ。

「プロになれる選手は一握りで、でもGK人生を充実させることはできる」というのもキーパー目線の興味深い発想である。自らが愛したGKという職業を、より良いものに高めていきたい。そのための情報や人材、経験や交流の発着点としての機能を、そして想いを、高木はキーパーたちの港たる「GK PORT」に託しているのだ。

 すでに卓越した理論は持っていた高木は、日体大での指導経験を経てさらに自信を深めているという。「Twitterでたまにオレが実践する動画あるでしょ。あれをやるとね、大学生の目の色が変わるの」。手応えは生来のコミュニケーションスキルや高い言語化能力とも相まって、今後のメソッドの発展への期待感にも変わる。月額5000円というリーズナブルな設定になった「GK PORT」が広まることで、全国各地にオフラインの動きが生まれてほしいと仕掛け人は目論む。

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