「こんなプレーは見たくなかった」スペイン戦大敗で揺れるドイツ代表。OBは“リーダー不在”に警鐘【現地発】

2020年11月22日 中野吉之伴

 スペイン代表に惨敗したドイツ代表が揺れている。

 現地時間11月17日、ネイションズ・リーグで対峙したスペイン対ドイツは、6-0という結果に終わった。この試合の解説を担当した元ドイツ代表キャプテンのバスティアン・シュバインシュタイガーの口からは、苦言ばかりが出てくる。

「強豪相手に負けることはある。だが内容的にも結果的にもこれはない。一番良くなかったのは、チームとしてのプレーが見られなかったことだ。一部の選手だけがかかわっている。互いの指示がない。ドイツ代表としてこんなプレーは見たくはなかった」

 チームマネージャーのオリバー・ビアホフは試合後に「消化する時間が必要。点差こそ違えど、08年欧州選手権決勝を思い出す。常に相手の後ろを走らなければならない。ボールを奪ってもすぐに奪い返される。徐々にチームがばらばらになってしまった。スペイン相手にそうなると時にこんな結果は起きてしまう。もちろん謝って許されることではない」と理解を求めたが、シュバインシュタイガーはひかない。

「そうした試合もあるし、スペイン相手に難しい試合になることはあるだろう。でも0-6は点差がつきすぎだ。選手のボディランゲージはあった?チャンピオンズ・リーグやブンデスリーガと比べても少なすぎる。代表チームには確かな価値観をもたらす必要はある」
 90年W杯優勝チームのキャプテンであるローター・マテウスをはじめ、多くの識者はリーダーの不在を訴えている。セルジ・ニャブリは「僕らはそれぞれ話をしながらやれることをやろうとした」と振り返っていたが、無観客で行われたこの試合で聞こえてくる言葉はスペイン語ばかり。

 確かに本来リーダー格のヨシュア・キミッヒが負傷で不在だったという背景はある。だがそれだけが理由では、逆に問題だ。ひとりの選手に依存しているようでは本大会で勝ち進むことなどできない。

 例えばブラジルW杯前にも「リーダー不在」は問題視されていた。当時キャプテンを務めていたフィリップ・ラームは大声を張り上げるタイプではない。当時副キャプテンだったシュバインシュタイガーは述懐する。

「うまくいかない試合は僕らの時もあった。監督も言うけど、僕ら選手もお互いに言い合っていた。あの頃はDF、MF、FWとそれぞれのポジションにすばらしいメンタリティを持った選手がそろっていたと思うんだ。フンメルス、ボアテング、ケディラ、クローゼ。それを今の代表選手にも求めている」

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