絶好調のウニオン・ベルリン。新加入の遠藤渓太に期待されている役割とは?【現地発】

2020年11月13日 中野吉之伴

昨シーズン昇格組として奮闘

ウルス・フィッシャー監督(左)のもと、ドイツで海外初挑戦を続けている遠藤(右から2番目)。 (C)Getty Images

 ウニオン・ベルリンが好調だ。

 ブンデスリーガ開幕のアウグスブルク戦こそ1-3で敗れたがその後は6試合負けなしだ。第7節終了時で勝ち点12の5位につけている。

 昨シーズンを11位で終えたウニオンの目標は1部残留だった。今シーズンは、クラブでは主力だったGKラファウ・ギキエビチとFWセバスティアン・アンデションが移籍した穴をしっかりと補強しながら、余剰人員を整理することが求められていた。

 限られた予算のなかでのやりくりは簡単なことではなかったことが予想されるが、チームマネージャーのオリバー・ルーネルトは非常に効果的な補強でチームの底上げに成功している。

 今季は元ドイツ代表FWマックス・クルゼ、遠藤渓太、GKには元リバプールのロリス・カリウスら、全部で11選手を獲得したわけだが、そのうち5選手はレンタル移籍である。

「全選手を正規で獲得できる可能性はない」
 
 ルーネルトは自分たちの置かれた状況を受け入れたなかで、クラブの戦力を最大限高める道を探り出さなければならない。レンタル補強は経営的には負担が少ないが、選手を獲得できればそれでいいわけではない。

 ではレンタル選手が確かな戦力として活躍するためにはどのようなことに気をつけなければならないのだろうか。出場機会があればどこでもいいというわけではない。クラブは生きている。そこには伝統があり、ファンの求める選手像がある。

 ルーネルトは自身の補強政策について次のように語っている。

「クラブにアイデンティティを抱いて、クラブのために本気でプレーしたいと思う選手でなければうまくはいかない」

 例えばドイツメディアのなかにはプライベートで時折騒動を起こすマックス・クルゼはウニオンにのクラブカラーには合わないと批判する声もある。だがルーネルトはこれを一蹴する。

「マックス・クルゼだろうと、マックス・マスターマンだろうと、その選手がどんな名前をしていようと私には同じだ。話し合いを重ねる中で、選手が『ウニオンでプレーがしたい!』という思いを感じ取れるかどうかが重要なんだ」

 今シーズンの舞台にウニオンを選んだ選手がみな、将来的にずっとこのクラブでプレーしようと思っているかどうかはわからない。だが、腰掛気分でウニオンにきている選手はいない。遠藤も、クルゼも、カリウスも、このクラブで一丸となって戦い、残留という目標を果たすために全力で戦うためにやってきたと認められている。

「クラブが置かれている状況から最大限できることをやり遂げたのではないかと思う。この補強政策が正しかったのか、いい選択だったのか、成功に導いてくれるかはこれからのシーズンで見えてくるだろう」

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