「彼女が監督ならプレーしない」フランス女子代表の “お家騒動”が泥沼化!リヨンの選手がクーデターを画策!? 【現地発】

2020年11月02日 結城麻里

なでしこ主将・熊谷紗希の同僚たちが反旗

ディア―クル監督(左)への不満をぶちまけた、リヨンのブアディ(右上)とルナール(右下)。(C)Getty Images

 女子フランス代表で、コリーヌ・ディアークル代表監督とオランピック・リヨネ(リヨン)所属の主力たちの間に激しい対立が発生、「監督が彼女である限り代表には行かない」と引退する選手まで出現し、波紋が広がっている。

 直接のきっかけは、ディアークル監督が10月のEURO予選2試合に代表主将のアマンディーヌ・アンリ(リヨン)を招集しなかった一件だ。しかも監督はこの非招集について、「スポーツ的選択」と冷ややかに表明しただけだった。

 このためリヨンの選手たちには衝撃が走り、直後のテレビ番組でウェンディ・ルナール(リヨン)が「内輪で傷めつけ合っている。こんなの続けられない」と告発したのに次いで、同じリヨンのウジェーヌ・ルソメールとアメル・マジリも「理解できない」「緊張がある」と代表内の深刻な亀裂を訴えた。

 もっと過激だったのは、リヨンでも代表でも不動の守護神を務めてきたサラ・ブアディ(149キャップ)だ。
 
 ブアディは代表から一時身を引くと発表し、10月28日にも「(2019年)ワールドカップ後のコリーヌ・ディアークルとの関係は、ものすごく難しかった。ひどく嫌な合宿だった。もちろん試合をテレビで観ると出たくなるけど、でも(引退を)後悔はしていない。だってあの監督とタイトルを勝ち取るなんて無理だと思う。代表生活は極めてネガティブな雰囲気。多くの選手がそう思っているけど、言わないだけよ」と代表監督を徹底的に批判した。

 またリヨンが5年連続、クラブ史上7回目の女子チャンピオンズ・リーグ(CL)優勝を飾った後も、ディアークル監督がリヨン女子チームの映画が出展されたアングレーム映画祭に招待された際、自分の代表選手3人に挨拶も祝いの言葉もかけなかったと紹介し、「侘しい話よ。でもあの人とは毎日が闘争状態なの」と告白。「切られようが両手を差し出して賭けてやるわ。コリーヌ・ディアークルが監督ポストにいる限りフランス代表はEUROを制覇できない、ってね」と強烈に吐き捨てた。

 ディアークル監督が就任したのは2017年。ところが就任するや、前述のルナールから代表キャプテンマークを奪った。次いで2019年ワールドカップでは、ルソメールのポジショニングをみなの面前で批判し、ルソメールはこれを消化できなかった経緯がある。

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