「強硬な態度に驚愕した」メッシと衝突した“ノビタ”の知られざる素顔「無能と見くびると、痛い目に遭う」【現地発】

2020年10月21日 エル・パイス紙

「会長職が務まるだけの準備が備わっているとは思えない」と元幹部は批判

バルサを離れる意思を表明したメッシ(左)に対し、バルトメウ会長(右)は退団を許さなかった。(C)Getty Images

「わたしは黙々と仕事をするタイプだ。軋轢のない調和した状態を保ちながら、一方的に指示を出すよりもコンセンサスを取りながら物事を進める。一流のエンジニアでも一流の経済学者でも一流の弁護士でもない。何かにおいて特別な能力を持っているわけではないが、働きやすい環境を作り、迅速にチームとして困難を乗り越えることをモットーにしている」

 これは2015年7月にバルセロナの会長選挙に立候補していたジョゼップ・マリア・バルトメウがエル・パイスのインタビューにおいて行なった自己分析である。

 バルトメウがバルサの会長に就任したのは、2014年1月。友人でもあるサンドロ・ロセイの辞任に伴い内部昇格の形で後任に選出された。そして2015年の年明けに当時の指揮官、ルイス・エンリケ(現スペイン代表監督)とエースのリオネル・メッシの間の確執など問題が山積する中、選挙を1年間前倒しするという英断が呼び水となって、チームが快進撃を開始。そのままクラブ史上2度目のトリプレーテ(3冠)を達成し、その快挙が文字通り追い風にになってこのインタビューの直後に会長選に勝利したのだった。
 
 あれから5年余りの歳月が経過。バイエルン戦での2対8の歴史的大敗、11人の幹部の辞任、今なお警察の調査が続く、SNSを用いての利害の対立する人間を中傷したとされる「バルサゲート」疑惑、不信任投票の実施に向けた囲い込みの動き、そしてメッシとの確執。まさに難題に次ぐ難題で、2020年はバルトメウにとって2015年をさらに上回る困難な1年となっている。

「バルトメウは、自らの行ないがどれだけクラブに大きな損失をもたらしたのかを理解できていない」と非難するのはかつて理事会の構成メンバーだった元幹部だ。辛辣な言葉はさらに続く。

「彼は辞任しないことが責任を果たすことだと思い込んでいる。自分のやっていることに同意する人間を常に探していて、そうやって自分を正当化するところがある。クラブの運営は、バルトメウがサンドロ・ロセイとともにジョアン・ラポルタの陣営(その後、ラポルタは会長選挙で勝利)に加わった2003年とは比べものにならないほど複雑化している。

 会長職が務まるだけの準備が備わっているとは思えない。組織を円滑に運営する能力に長けているわけでもない。もともと人を信頼しないところがあって、だから一目惚れをしても、すぐに冷めてしまう。彼がメッシをはじめとする選手たちにすがるしかない状況になったのはある意味必然だよ」
 

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