ボランチは川崎勢ら多士済々、選手層の薄い左SBに2人の左利き――注目すべき国内の「A代表予備軍」【守備編】

2020年10月15日 元川悦子

GKは若手が台頭、CBでは昌子が統率力を発揮

今季のJリーグで活躍を見せる選手たち。左上から時計回りに、山口(神戸)、田中(川崎)、山中(浦和)、昌子(G大阪)。写真:サッカーダイジェスト

 約1年ぶりの日本代表活動となった9日のカメルーン戦と13日のコートジボワール戦(ともにユトレヒト)が無事に終わった。

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 初戦は2019年の公式戦を戦ったメンバーを軸に挑み、スコアレスドロー。守備面では前半プレスがハマらず、苦しみながらも最終ラインの奮闘もあって零封。攻撃面は後半から3バックへシフトによって活性化したものの、全体に物足りなさが感じられた。

 2戦目は攻守両面で改善。最終的には植田直通(セルクル・ブルージュ)の劇的決勝弾で勝利。チームとして力強い一歩を踏み出した。ただ、このまま2022年カタール・ワールドカップ出場、本大会ベスト8という目標を達成できる保証ない。この先も継続的に前進し続けなければならないことを森保一監督も選手たちも再認識する好機になったと言える。

 こうした中、まず守備陣を見ていくと、GKは権田修一(ポルティモネンセ)とシュミット・ダニエル(シントトロイデン)が各試合に出場。無難なプレーを見せた。ベテラン・川島永嗣(ストラスブール)は出番なしに終わったが、森保一監督も3人の現状はしっかりと確認したはずだ。ただ、GK陣は若い世代の台頭が著しく、欧州に小久保ブライアン玲央(ベンフィカ)や山口瑠伊(レクレアティーボ・ウェルバ)、国内にも沖悠哉(鹿島)や大迫敬介(広島)ら成長株がいる。彼ら若手をどのタイミングで思い切って抜擢するのかが気になるところだ。

 センターバック(CB)は吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(ボローニャ)の鉄壁コンビが2戦続けて大きな存在感を示した。植田も「2人はミスも少ないし、安定してきている」と絶賛したが、彼らだけがいればいいわけではない。2戦目のラスト数分間だけピッチに立った植田、出番なしに終わった板倉滉(フローニンヘン)はさらなる飛躍が求められてくる。

 加えて言うと、CBは国内組の発掘も進めていくべき。というのも、国内には今春Jリーグに復帰した昌子源(G大阪)、森保ジャパンで招集回数の多い三浦弦太(G大阪)や畠中槙之輔(横浜)、伸び盛りの渡辺剛(FC東京)、中谷進之介(名古屋)らが控えているからだ。

 特に2018年ロシア・ワールドカップ16強経験者の昌子は8月の本格復帰後、12試合に出場し、持ち前の統率力を遺憾なく発揮している。「パスの感覚だったり、相手のアプローチがすごく速く感じたりする。前は瞬時に一番いい判断がもっとできていた」と本人は復活途上にあると話すが、感覚が戻れば世界レベルでも十分やれる選手。11月にコロナの入国制限が緩和されれば、Jリーグ組も欧州遠征に参加できるかもしれない。昌子らが加わったサバイバルをぜひ見てみたい。
 

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