ロビーニョの“男気契約”に女性サポから批判殺到!ネイマールのハットもかすむ大騒動に発展したワケ【現地発】

2020年10月15日 リカルド・セティオン

プロ選手の最低賃金で契約を結ぶ

このバシャクシェヒルを退団し、サントスに新加入したロビーニョ。(C)Getty Images

 ロビーニョは押しも押されもせぬブラジルのスター選手だ。ブラジル代表では100試合に出場し、クラブチームではサントス、レアル・マドリー、マンチェスター・シティ、ミランなど世界のビッグクラブで活躍してきた。ただここ3年ほどはトルコの、それも名門とは言えないチームでプレーし、ほとんど表舞台から消えていた。

 しかし、そのロビーニョがいま再びブラジル中の注目を浴びている。その理由は2つ。順を追ってお話ししよう。

 先週の木曜日、サントスがロビーニョとの契約を発表した。サントスの下部組織で成長したアタッカーは、これが古巣との4回目の契約となる。これまでサントスで通算246試合をプレーし、109ゴールを決めている。同じくサントス出身のネイマールの、少年時代の絶対的なアイドルでもあった。

 イスタンブール・バシャクシェヒルを退団したロビーニョには、ブラジルのチーム3つと、国外のチーム2つからオファーが寄せられていた。その中から選んだのが古巣のサントスだった。現在36歳、これが最後の移籍となる可能性も高い。彼は愛するチームでサッカー人生を終えたかったのである。
 
 クラブの方も、かつてのスターが復帰することを喜んでいた。ところが契約の話が進んで行くうちにとんでもないことが発覚した。サントスは数週間前に会長が交代していたのが、前任のペレス会長は重篤な財政難を隠蔽していた。ロビーニョに払える給料などなかったのである。新任のロッロ会長はロビーニョに、そのことを正直に告げた。当然サントス側は、この話は破談になると思っていた。しかし驚いたことにロビーニョはこう申し出た。

「月10レアル(約190円)の給料でもいいので、サントスに戻りたい」

 カタールや中国に行けばまだそれなりの報酬を得られるはずだが、彼はどうしてもサントスに戻りたかったのである。結局、彼は月1000レアル(約1万9000円)の給料で契約を交わした。この金額はブラジルの法律で定められているプロ選手の最低賃金である。

 期間はブラジル全国リーグが終わるまでの5か月間。2022年12月までの契約オプション付きである。この契約にサントスは大きく救われた。サントスの財政難は本当に深刻で、莫大な借金を抱えていることから、FIFAが数日のうちに新たな選手登録の禁止を発令すると言われているからだ。さて、ここまでならばロビーニョの"男気契約"は美談で終わっていた。しかしこの物語には続きがある。
 

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