山田大記が誓うブンデス1部昇格と日本代表入りへ「ふた桁ゴールでアピールしたい」

2015年03月13日 寺野典子

「ここでは常に“チャレンジ”が求められる」

24節終了時で6ゴールの山田。代表入りのためにも「二桁ゴールでアピールしたい」と強気の姿勢だ。(C) Getty Images

「今日は『左で6点取ってるんだから、左で点を取ってこい』と監督に言われていた。その言葉どおりチャンスがいっぱいあったのに決められなかった……。3本目なんて味方のFWに当たっていなければ入っていたのに(笑)。やっぱりチャンスは決めなくちゃいけない。僕は"助っ人"としてこのクラブにいるわけだから」
 
 3月9日のブンデスリーガ2部・24節のカールスルーエ対ライプツィヒは0-0のスコアレスドローに終わった。この日で、19試合連続のスタメン出場を果たしたカールスルーエの山田大記は、5本のシュートを放ちながら無得点。山田へのファウルで前半に相手選手が退場したことを考えれば、勝点3が欲しい試合だった。
 
 激しい当たりを高いテクニックでかわす。相手は山田をファウルで止めるしかないというシーンも多かった。攻撃へ転じた後の味方との連係もスムーズだ。
 
「ずっと使ってもらっているので、試合勘も周りとのコミュニケーションも問題ない。自分の欲しいタイミングでボールを預けてくれるし。今日は左だったけど、真ん中の時も、みんなファーストチョイスで見てくれる」
 
 それでも加入して最初の5試合ほどは、自身でも「酷い出来だった」と振り返る。その理由は、チーム戦術のあまりの細かさに戸惑ったためだ。戦術を頭で整理しきれず、ボールを受けても「で、どうするんだっけ? みたいな感じ」で、まったく持ち味を発揮できなかった。
 
 しかし、そうした時期を乗り越えられたのは、指揮官やチームメイトが山田を戦力として認め、しっかりとコミュニケーションをとって戦術を理解できるような態勢を整えてくれたからだ。そして、いったん戦術を理解できればカールスルーエのサッカーに馴染むのも早かった。
 
「戦術を覚えてしまえば、決まり事があるほうがプレーしやすいし、自分に合っていた。それはすごくありがたかった。今はボールを受ける前にどうすべきかが分かっているし、自然に身体が動く。わずかなチャンスでも逃さず、シュートを打つ。ゴールを奪うためのプレーをする。チームメイトの動きも速いので、前へ行く意識は日本にいた時よりも高まったと思う」
 
 実際、攻撃に転じた山田のプレーは思い切りが良く迷いがない。チーム戦術を理解できているという自信、味方との信頼関係の確かさがはっきりとプレーに表われ、そしてなによりゴールを奪いたいという欲にあふれている。
 
「チャンスがあるのに行かないと、『どうして行かないんだ!』となる。チャレンジしてミスするより、チャレンジしないほうがダメだと。ここでは、そこが徹底されている。だから、ゴールへ向かうことを特に意識しているし、特に代表のことを考えると、中盤でふた桁ゴールという記録を残せば、大きなアピールになると思う」
 

次ページ出したパスに反応しなかった味方に対して、山田は……。

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