攻撃面では高卒ルーキーへの期待も!共通理解が進む京都、上位争いに踏みとどまれるか?

2020年09月09日 雨堤俊祐

17節・千葉戦で7試合ぶりの勝利。布石は前節の大宮戦に

17節の千葉戦ではP・ウタカ(写真)、J・バイスのゴールで勝利。7試合ぶりの勝利を飾った。写真:滝川敏之

 J2リーグ17節・千葉戦で、京都は7試合ぶりに勝利した。40分にレナン・モッタが敵陣深くで相手DFからボールを奪い、ピーター・ウタカが先制点。前半アディショナルタイムの49分にも、この日攻守に効果的なプレーを見せながら無念の負傷交代となったモッタが最後に獲得したCKをヨルディ・バイスが決めて2-0とする。後半途中からは守備の時間が増えたが、最後は守備時にDF6人を並べる布陣で逃げ切った。

 勝点3という結果に胸を撫で下ろした實好礼忠監督は、試合内容についてもある程度改善できた感触があるようだ。例えば守備面の「自分たちからアクションを起こして守備をしたいけれど、それがすべて前から前から行くようになっていて、前と後ろの距離が開くことが多くなっていた」と勝てない時期の問題点について「そればかりじゃなくて、メリハリを付けようと。全部、行ききらなくていい。(プレスに)行って相手に剥がされれば、一度しっかりポジションをとる。そこからズルズル下がらずに、また守備をする。僕が上手く伝えきれていなかったのもあるが、選手の共通理解のところが良くなりました。大宮戦と千葉戦は、バイタルエリアに入れられて大きなピンチというのは少なかったと思います」と分析している。

 ここで指揮官が「大宮戦と千葉戦は……」と話したように、布石は3日前の16節・大宮戦にあった。敵地への移動も伴う過密日程の中、前の試合から先発8人の入れ替えを敢行。ウタカら主力選手を帯同させないという思い切った判断を下して臨んだ一戦で、試合内容にも改善が見られた。

 その要因は、出場機会の少ない選手たちが、与えられたチャンスの場で奮起したこと。そして、献身的な守備ができる野田隆之介が前線に入り、バイスが出場停止の3バックの中央にはラインコントロールに秀でた安藤が起用されるなど、起用された選手の特徴が『コンパクトな陣形を保って守備をしたい』というチーム状況とかみ合ったのも大きかった。前線からのプレスに中盤が連動してボールを奪いに行くシーンが何度もあり、終了間際の失点で敗れはしたが、チームには次節に向けて『大宮戦でよかったところを継続していく』(實好監督)という共通認識が生まれていた。
 

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