天皇杯茨城決勝は大激戦!関東1部・筑波大が2部の流経大から感じ取ったモノ「この圧は1部でも味わえない」

2020年09月04日 安藤隆人

1-1で迎えた85分、防戦一方だった筑波大が…

天皇杯予選茨城県決勝は、筑波大(水色)対流通経済大(赤)の対戦に。筑波大が接戦を制した。写真:安藤隆人

 1分たりとも目が離せない白熱の攻防戦だった。

 全国各地で熱戦が広げられた天皇杯予選。茨城県の決勝は筑波大と流通経済大という、茨城のみならず大学サッカー界にその名を轟かせる2校の激突となった。今年は流通経済大が2部に落ちたことで、この両チームがリーグ戦で顔を合わせることはなく、公式戦では今季初の組み合わせとなった。

 筑波大はレギュラーに4年生が1人だけという若い顔ぶれだったが、プロのスカウトが注目するDF角田涼太朗、MF山原怜音がおり、こちらも評価の高い2年生ストライカー・森海渡もスタメン出場。流経大はベガルタ仙台内定のCBアピアタウィア久はベンチ外だったが、浦和レッズ内定のCB伊藤淳樹、来季の目玉として早くも争奪戦が繰り広げられているDF宮本優太、MF安居海渡と、タレントをずらりと並べてきた。

 お互いがこの一戦に懸けている緊張感がひしひしと伝わってくるなか、立ち上がりは筑波大が先手必勝と言わんばかりに攻勢に出た。3分に右サイドハーフに入った山原がドリブルシュートを放つと、5分にも山原のクロスからチャンスを作った。

 しかし、流経大も8分にカウンターからMF加藤千尋が強烈なミドルシュートで筑波大のゴールを襲うと、流れは一変。19分にMF仙波大志がシュートを放ち、20分にはFW齊藤聖七が抜け出したが、いずれも筑波大GK櫻庭立樹がファインセーブ。26分にも齊藤のパスを受けた加藤がシュートを放つも、これも櫻庭の横っ飛びセーブに遭うなど、再三のチャンスを相手守護神の好守に阻まれた。

 すると43分、筑波大が一瞬の隙を突いた。CB角田が右サイドの山原に大きく展開すると、山原は対峙するDFをカットインで交わして「ゴール前にスペースがあったので、そこに落とすボールを狙った」と、左足インフロントでゴールに向かっていくクロスを選択。このボールに飛び込んだMF小林幹が鮮やかなトラップから豪快に右足を振り抜いて、ゴール左隅に突き刺した。

 迎えた後半、すぐに流通経済大が追いつく。59分に右サイドでMF満田誠がドリブルで2人をかわしてマイナスの折り返し。これを仙波が決めて、試合を振り出しに戻すと、ここからは前半同様に流経大の猛攻が始まった。

 後半頭から投入されたMF熊澤和希がアクセントを加えて、2重、3重の攻撃を仕掛けたが、GK櫻庭、CB角田を軸とした筑波大の堅い守備をこじ開けることができない。74分にはMF佐藤響のカットインからの強烈なシュートをGK櫻庭がセーブをすると、こぼれ球に反応した熊澤のシュートを角田が身を呈してブロック。まさに水際の攻防を見せた。

 そして試合は、前半と同じような流れで決した。85分、防戦一方だった筑波大がカウンターを仕掛けると、角田の縦パスを途中出場のMF瀬良俊太、森海渡と繋いで、最後はMF加藤匠人が右足シュートを沈めて、勝ち越しゴール。このゴールを守り抜いた筑波大が2−1で流経大を下して、3年ぶりの天皇杯出場権を手にした。
 

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