選手権で脚光浴びた1年生レギュラーが2年生エースへ!青森山田“10番”の系譜を継ぐ松木玖生の存在感

2020年09月03日 松尾祐希

5年連続でプロ入りを掴んできた青森山田の10番。今年は2年生の松木が背負うことに

今季は10番を背負う松木。名門のエースナンバーにも「番号は関係ない。自分らしさを出せれば」と気負いはない。写真:松尾祐希

 柴崎岳(現・デポルティボ・ラ・コルーニャ)らが背負ってきた背番号10は、青森山田にとって特別な背番号だ。近年では神谷優太(現・柏レイソル)、高橋壱晟(現・ジェフ千葉)、郷家友太(現・ヴィッセル神戸)、檀崎竜孔(現・コンサドーレ札幌)、武田英寿(現・浦和レッズ)が付け、昨季まで10番の選手は5年連続でプロ入りを果たしてきた。しかし、その流れは今季で止まる。何故ならば、2年生の松木玖生がエースナンバーを背負ったからだ。

 2年生10番は青森山田の歴史を振り返っても、柴崎など数える程しかいない。上記で挙げた先輩たちも下級生で託されてはおらず、最上級生になってから背負っている。そうした近年の前例を覆し、松木はエースナンバーを任された。将来性を見越しての抜擢という向きもあるが、決してそれだけではない。プレー面が評価されたからこそ、黒田剛監督から10番を託された。

 昨冬の高校サッカー選手権では1年生レギュラーとしてチームの準優勝に貢献。4得点を奪うなどプレー面もさることながら、「最大の武器はメンタリティ」と言い切る振る舞いで力強くチームを牽引した。先輩たちに容赦なく指示を出し、時には激しい檄を飛ばす。その姿はまるで下級生とは思えないリーダーシップで、主軸の風格すら漂わせていた。

 そのスタンスは2年生になってからも変わっていない。8月30日行なわれた東北スーパープリンスリーグ開幕戦のブラウブリッツ秋田U-18戦では、4−1−4−1のシャドーで先発出場。開始10分に名須川真光(2年)のお膳立てから先制点を奪うと、14分にもこぼれ球に反応して追加点を決める。後半に入っても勢いは止まらず、55分には直接FKを決めてハットトリックを達成。ゴール以外でもCKから3アシストを記録し、的確なコーチングや献身的な守備でも存在感を発揮するなど、10番に恥じないプレーを見せた。

 13−1の快勝を収めたチームにおいて、確かなパフォーマンスを見せた松木。本人は「失点があると青森山田らしさがなくなる」と終盤の失点を反省しながらも、自身の出来についてはポジティブに捉えている。

「3ゴールを目標にしていたので達成できて良かった。前半に2点を決めたけど、普段の自分であれば『もういいや』となってしまう。でも、3点を目標にしていたので取りにいきたかった。ゴール前に入っていけるシーンがあったので、ハットトリックは狙っていました。アシストもCKからできた。セットプレーは青森山田の強みなので、キッカーの責任としてうまく合わせられたと思います」
 

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