「最後まで戦えない奴は使えない」セレッソ育ちのドリブラーがU-16森山監督からの檄で大変貌!W杯出場へ切り札になるか

2020年08月26日 松尾祐希

年上のJユースとの練習試合で輝きを放ったU-16日本代表MF北野颯太

22日に行なわれたJクラブユースとの練習試合で、U-16日本代表の北野が存在感を見せた。写真:松尾祐希

 来秋のU-17ワールドカップ出場を賭けたU-16アジア選手権開幕まで約3か月。セレッソ育ちのドリブラーが成長の跡を示し、レギュラー取りをアピールした。

 8月19日から23日まで、森山佳郎監督率いるU-16日本代表が千葉県の高円宮記念JFA夢フィールドで合宿を行なった。先月に続く今回の代表活動では紅白戦に加え、新型コロナウイルスの感染拡大後では初となる対外試合を22日に実施した。

 対戦相手は鹿島アンドラーズユースと柏レイソルU-18。感染防止対策として、今回は自分たちだけではなく、相手側にも約40分で結果が判別できるスマートアンプ法で前日に検査を行ない、陰性が確認された上でゲームを実施した。

 ともに40分ハーフで行なわれたトレーニングマッチは、均一に出場時間を与えるべく2チームに分けて実施。最初に行なわれた鹿島戦は雷の影響で後半残り5分の場面で打ち切りとなり、続く柏戦も前半20分過ぎに中断となってしまう。しかし、その後は天候が持ち直し、最後までゲームを実施することができた。結果はともに引き分け。ラストプレーで追い付かれた鹿島戦は2−2、1点リードを許した柏戦は再開直後にネットを揺らして1−1でゲームを終えた。高校3年生中心の相手に対し、粘り強く戦った点は次につながる内容だったと言えるだろう。

 収穫が多かった今回のトレーニングマッチ。その中で可能性を示した選手がいる。セレッソ大阪U-18に所属する北野颯太(1年)だ。

 北野の武器は柔らかいタッチとキレのあるドリブル。左サイドハーフで出場した2試合目の柏戦では機動力を生かした仕掛けでチャンスに絡んだ。また、守備でも献身的に動き、ファーストDFとしての役割も全う。今後に期待を抱かせるパフォーマンスだった。

 北野は昨夏、セレッソ大阪U-15の一員として夏のクラブユース選手権に出場し、エースとしてチームの準優勝に貢献。当時から技術を高く評価されており、同年9月のU-16アジア選手権予選でもU-15代表の一員としてプレー。経験値も高く、代表のコアメンバーのひとりだ。過去の実績やプレーを踏まえれば、Jユース相手の好パフォーマンスに驚きはない。しかし、新たな一面も見せてくれた。それがハードワークを厭わない選手に変貌を遂げていた点だ。

 今から1年前。当時の北野は技術に定評があったが、クリアすべき課題も多い選手だった。所属するC大阪U-15の田島一樹監督も期待をかけつつ、課題を口にしていたのもそのためだ。

「厳しい環境に置かれ、自分のプレーができない時に他の部分で"らしさ"を出せるか。厳しい状況で戦うこともある。どんなグラウンドコンディションでもボールが取れて、前に運べる選手が上のステージに残っていく。泥臭くやること。これが彼にとって大事になるはずです」

 実際に昨夏のクラブユース選手権では準決勝で2つのゴールに絡んだ一方で、翌日の決勝では大ブレーキ。優勝したサガン鳥栖U-15に何もさせてもらえず、0−1の敗北に涙を流した。
 

次ページ「賢さとクオリティを持った選手」と森山監督はポテンシャルを評価

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事