「正直、勝てるとは…」CLベスト4進出のリヨンにフランス全土が騒然!! 快進撃を支えた会長の“本気”【現地発】

2020年08月17日 結城麻里

リヨン旧市街は “シャンゼリゼ”状態に

ベスト4が決まりはしゃぐリヨンの面々。中盤のマジシャンだったウセム・アウアー(中央、キャプテンマーク)。(C)Getty Images

 リヨンがマンチェスター・シティを撃破し、史上初めてチャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝にフランスの2クラブが進出。こちらは、一夜明けても全土が騒然としている。

 特に、リヨン旧市街とテロー広場は、パリのシャンゼリゼ大通りのお株を奪うように、クラクションと発煙筒が打ち上げられ、お祭りの舞台と化した。その興奮は明け方まで続いた。

 なにしろCLは、フランスの『L’EQUIPE』紙が発明、創設したコンペティション。ところが栄光はいつも他国クラブに捧げ、フランスのクラブが優勝したのは1993年のマルセイユ1回のみ。最後にやっとファイナルに進出したのも、2004年のモナコまで遡る。まして2クラブが揃って準決勝に進出したことなど、一度もない。

 史上初の快挙達成に、『L’EQUIPE』紙翌16日付の一面には、「FABULEUX !」(想像を絶する、途方もない、神話の域といった意味)という大見出しが躍った。リヨンのヒーローたちが、誰もいないサポーター席に向かって、逞しく勝利をアピールする写真も、歴史的だった。

 2面のメイン記事にも、「ベスト4にフランス2クラブが登場、気違いじみている」という文字が躍動。新型コロナウイルスを克服して前線に復帰したオピニオン・リーダー、ヴァンサン・デュリュック記者が健筆を振るい、意味深長なメッセージを発している。

「いまや、火曜日にパリ・サンジェルマン対RBライプツィヒ、水曜日にリヨン対バイエルンだ。フランス対ドイツの準決勝である。昔なら、あまりのセビリア、あまりのグアダラハラ、あまりのマラカナンのせいで、こういうのは好まなかったもの。だが、マルセイユでの欧州選手権(EURO)2016があった。そしてそれ以降も、リスボンは魔法のよう、という思考が出ている」

 セビリアとは1982年スペイン・ワールドカップの準決勝で、フランスが西ドイツとの死闘の末に敗北した伝説の試合を指す。グアダラハラとは1986年のメキシコ・ワールドカップだ。ここでもフランスは準決勝で西ドイツに0-2で敗れ、因縁とトラウマが深まった。そして、マラカナンとは2014年ブラジル・ワールドカップ。準々決勝でドイツに力負けした。

 EURO2016準決勝でようやくドイツを撃破し、その2年後にはフランスが世界王者に返り咲いた。したがってデュリュック記者は、もしかすると2018年に次いでフランスがCLでも「2つめの星」をもぎ取れるかもしれない、という密かなゲキを飛ばしていることになる。

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