新加入の遠藤渓太に求められる役割とは? ウニオン・ベルリンの新シーズンを読み解く【現地発】

2020年08月17日 中野吉之伴

クルゼらとの共存がカギとなるはず

開幕に向け、テストマッチでの出場を重ねている遠藤。 (C)Getty Images

 遠藤渓太が期限付き移籍した、ドイツ1部ウニオン・ベルリンは、今シーズンでブンデスリーガ2季目に突入する。

 2部から上がったばかりの昨シーズンは、組織だった守備に定評がある一方、攻撃で手数が少なかったのが問題視されていた。チームの得点はセットプレーからが主で、残りはスウェーデン代表FWセバスティアン・アンデルソンらの個人技に頼ることが多い。ボールポゼッション率も、高くはなかった。

 それだけに、来シーズンは攻撃陣のテコ入れが重要なテーマとなることは明らかだった。遠藤の加入は現地でも話題を呼んでいるが、それ以上の目玉がいる。元ドイツ代表FWマックス・クルゼの加入だ。

 ブンデスリーガ通算250試合出場、代表歴14試合を誇るクルゼは攻撃において核として期待されている。彼はブレーメンで大迫勇也ともプレーしていたことがある。

 ウニオンOBのトルステン・マツシュケは、クルゼの加入についてこう語っている。

「マックスはストリートキッカーだよ。自由な感覚でゴールを決めて、アシストをしていく。1トップで起用されるだろうアンデルソンの周囲でプレーすることになるはずだ。

 彼は意図的に相手選手を引き付けてスペースを作る能力が高い。そのタイミングを逃さずに攻撃できるようになれば、どんな選手も彼とプレーするのが楽しいと思うようになる。ボランチの選手も、これまで以上に攻撃に出ていく意欲が出てくるだろう」

 ただ、クルゼはチーム戦術に縛られるのを嫌い、自由な役割を担うことで自身の力を最大限に発揮するタイプだ。それだけに、チームメイトには彼の動きを把握してサポートしながら、逆にその動きを利用して、スペースを攻略してことが求められる。

 日本人プレーヤーに課せられる役割は、守備バランスを大きく崩さず、クルゼやアンデルソンとハーモニーを奏でて、攻撃面で違いを生み出せるかどうかだ。

 遠藤がクルゼの動きから生まれたスペースにタイミングよく侵入したり、アンデルソンのポストプレーから相手守備の裏を取ったり、というプレーがコンスタントにみられるようになれば、間違いなくウニオンの攻撃には厚みが生まれてくる。

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