中学時代から注目を浴びた鹿児島城西の190センチ長身GK、ヒル架依廉が目指す二人の「大迫」

2020年08月07日 安藤隆人

「今年に入って筋トレの成果を感じるようになった」

鹿児島城西の守護神ヒル。関東の強豪大学が熱視線を送る逸材だ。写真:安藤隆人

 1年時から鹿児島城西のゴールを守り続ける190cmの長身GKヒル架依廉は、最高学年を迎える今年、さらなる成長を遂げようとしている。

「もっとパワーをつけたいし、ビルドアップの質も高めて、安定感あるGKになりたい」

 8月1日から3日にかけて行なわれた2020強化交流U-18サッカーフェスティバルin九州。そこには以前と比べ、身体つきががっしりとしたヒルの姿があった。

 鹿児島育英館中時代から大型GKとして注目を浴び、中3時には全国中学校サッカー大会で準優勝に貢献。高校進学時には強豪Jユースからも熱視線を浴びたが、「高校でも鹿児島で成長したいと思った」と中高一貫教育を敷く鹿児島城西に進学。1年時からゴールを守ったが、長身選手特有の筋力のアンバランスに苦しみ、筋トレを意識するがなかなか思い描くパワーを得ることができなかった。

 しかし、今大会を見ると、明らかにフィジカルレベルは向上している印象を受けた。鋭い反応からのシュートストップに加えて、空中での姿勢が安定して来たことできっちりと外にはじき出す技術、ハイボールの処理に確かな成長を見せた。

「今年に入って筋トレの成果を感じるようになりました。セービングの部分やキックの部分でパワーが出せるようになって来た手応えがあります。パワーは自分の中でずっと課題ですし、逆にここを補うことができればもっと成長できるので、これからも意識的に取り組んでいきたいです」

 今、彼の下には複数の関東の強豪大学からラブコールが送られている。まだ進路は決めていないが、関東の大学で4年間みっちりと自分の課題に向き合って鍛え上げ、目標に到達する覚悟を固めている。

「GKにとって長身はストロングであることは間違いないからこそ、しっかりとその長所を駆使できるように高校生活と大学の4年間をかけて磨き上げてプロの世界に飛び込んでいけるようにしたいです」

 ヒルにとって指標となる選手がいる。それはA代表にも選出されているサンフレッチェ広島の若き守護神・大迫敬介だ。大迫はヒルと同じ鹿児島出身で、高校進学とともに故郷を離れて広島ユースに加入し、日本を代表するGKの1人にまで成長をした。

「大迫敬介さんは僕が小さい頃から有名でずっと憧れていました。ビルドアップがものすごく上手くて、シュートストップもトップクラス。同じ鹿児島でこのような素晴らしいGKが輩出されたということは僕の中でも誇りですし、背中を押してもらえる存在です。僕も大迫選手のようにビルドアップとシュートストップにもっと磨きをかけてそのステージに行きたいし、周りから信頼されるあの安定感を目指しています」

『大迫』と言えば、中高の偉大なる先輩である大迫勇也も憧れの存在。
「大迫勇也さんはポジションこそ違いますが、高校で一気に名の知れた存在になりましたし、特に高3の選手権で一気に全国区になった。僕にもまだチャンスがあると思っていますし、いずれ海外でやりたいと思っているので、本当に尊敬しています」

 2人の半端ない大迫の背中を追いかけて。ヒルはじっくりと自分と向き合いながら、長期的なビジョンを持って夢に向かって歩き出している。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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