【松本】攻守に手応えありの90分 反町監督も上機嫌の出来

2015年02月21日 サッカーダイジェスト編集部

昨季にはなかった「個の力」を上積み。

【横浜 0-1 松本】松本のフォーメーション。得点者/松=鐡戸(90+2分)

「ボンジュール」
 クラブ初のプレシーズンマッチに臨んだ松本の反町監督は会見で開口一番、横浜の新任フランス人監督を意識してこう挨拶。その上機嫌ぶりが、実り多き90分となったことを物語っていた。
 
 松本は2月16日から同27日にかけて、鹿児島県鹿児島市で3次キャンプを張っている。だが大詰めの重要な時期に、主力18人を選んで横浜市まで遠征し、その日のうちに舞い戻るという強行スケジュールを組んでまでこの一戦に臨んだ。
 
 それだけの価値はあったと評価できるからこそ、指揮官は雄弁だったのだろう。この戦いの位置付けは、主にキャンプ中に整備してきたディフェンス面の「中間決算」。3バックにはこれまでの練習試合と同様、左から酒井、後藤、飯田を並べた。
 
 ボールホルダーに激しく当たる、カバーの意識を徹底する、身体を投げ出してシュートブロックをする。昨季からふたりが入れ替わった新生3バックは松本の根幹をなす要素を忠実にこなし、横浜を無得点に封じた。
 
 GKの村山は「(3バックは)やるたびに安定感が増しているし、今日はボランチとの兼ね合いもスムーズだった。時間を掛ければもっともっと良くなると思う」と納得の表情。さらに最終ラインの後藤は空中戦で強さを発揮し、酒井はスピードを活かして齋藤を抑えた。時間を掛けて落とし込んできたチーム戦術が遂行できただけにとどまらず、個人能力の側面でもJ1の名門クラブと渡り合ってみせた。
 
 収穫はそれだけにとどまらない。キャンプでほぼ手を付けていない攻撃面でも、走力が光った後半に何度もチャンスを演出。昨季から不可欠な主力となっている岩上が中核を担い、DF田中の右サイドを経由しながらゴール前のシーンを作った。
 
 92分の決勝点もその流れから。田中の右クロスに横浜のGK榎本が飛び出し、捕球できずにこぼれたボールを荒田がシュート。さらにこぼれた球を鐡戸が左足で蹴り込んだ。
 
「具体性のあるトレーニングはしていない。イメージが思ったよりシンクロしていた」
 キャンプ終盤に予定している攻撃練習に向け、反町監督は好感触を掴んだ様子だ。
 
 さらにブラジル人FWオビナは3人に囲まれながらも突破して重戦車ぶりを披露し、途中出場の前田は頻繁にボールに関わりアタッキングサードを活性化。新戦力も順調に台頭し始め、昨季の松本にはなかった「個の力」が上積みできていることを証明した。
 
「メルシー、ボクー」
 やはりフランス語で会見を締めくくった反町監督。すべてはプランの範囲内でチーム構築が進んでいる─―。強くそう感じさせる一戦だった。
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