【磐田】敵将も舌を巻く抜け出しの巧さ!ユース出身の中野誠也が大怪我から復帰、2年ぶりのゴールに安堵の笑顔

2020年07月20日 高橋のぶこ

「何がなんでもゴールを決めてやる」ホームでゴールを決めたいという思いはひと際強かった

北九州戦でリーグ戦では約2年ぶりとなるゴールを決めた中野。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J2リーグ6節]磐田2-0北九州/7月19日(日)/ヤマハスタジアム

 磐田のギアを一段引き上げたのは、53分にトップに投入された中野誠也だった。

 得意とする裏への抜け出し、スペースへの細かい動き出しで相手ラインを押し下げ、攻撃を活性化。試合は磐田が押し込む展開に転じていった。
  ◇  ◇  ◇
 シュートわずか2本で敗戦を喫したアウェー戦から中3日で迎えたホーム戦。フベロ監督は、連戦の疲れも考慮し、先発を6人替えフレッシュなメンバーを起用。2トップはともに初先発となるルーキー三木と新外国人ルリーニャ。ボランチで針谷が今季初先発し、左SBには4試合ぶりに宮崎が入った。

 しかし、「新しい組み合わせで連係がうまくできなかった」(フベロ監督)こともあり、前半は北九州のハイプレッシャーに苦戦。終盤は盛り返したもののポゼッションも上回られた。

 立ち上がりからロングボールを用いたのは、「(相手が)前から来ているので、その背後を突いていけばいい」(大森)という"いなす"意図があったが、前線にボールがなかなか収まらない。山田がペナルティエリアへ飛び出し、深い位置で起点となり何度かチャンスを演出したが、自分たちのサッカーを色濃く出したのは北九州のほう。磐田は相手のサイドチェンジに揺さぶられ、最後はクロスをファーでとらえられる形で決定機の場面をつくられた。

 ベンチには小川航やルキアンも控えていたが、フベロ監督が最初の交替カードとして中野を選んだのは、「裏への抜け出しがうまく、チャンスに決め切る決定力にも秀でている」から。中野自身も、我慢が続いていたチームに必要なのは、自分が最も強みとするプレーで磐田の攻撃に深みをつくることだと考えていた。

 中野がピッチに入ると、相手DFは絶妙なタイミングで裏へ抜け出してゴールを狙う動きを常にケアしていなければならず、必然的に北九州のラインは下がり、前との距離が空き気味に。暑さの中で前半攻守に飛ばした疲れも出てやや足が止まる中で、磐田は敵陣で難なくポゼッションし、押し込んでいく。テンポが上がった幅を使ったパス回しに、相手のプレスは追いつけなくなっていった。
  ◇  ◇  ◇
 中野がピッチに入るときにもうひとつ胸に抱いていたのが「何がなんでもゴールを決めてやる」という気持ちだった。

 ジュビロユースから筑波大学に進み、再びサックスブルーのユニホームに袖を通したのは一昨年。昨年5月に岡山にレンタル移籍をしたが、左膝靱帯断裂の負傷により長期離脱。リハビリを続ける中で今季磐田に戻ってきた。

 前節も途中出場をしたが、リーグ戦で小さい頃から親しんだヤマハスタジアムのピッチに立つのは今季初めて。ケガを乗り越えた姿を見せたい、ホームでゴールを決めたいという思いは、ひと際強かった。
 

次ページ北九州の小林監督は「飛び出すタイミングというのが少し違う……。やられました」と脱帽

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事