【清水】“横浜式”導入も公式戦4連敗…マリノスとの決定的な違いはどこに?

2020年07月10日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

清水は来季以降に“横浜式”を体現できるのか――

クラモフスキー監督(中央)は横浜ではもちろん、オーストラリア代表などでもポステコグルー監督(右)の下でコーチとしてともに働いていた。(C)Getty Images

 今季の清水エスパルスは4-3-3を基本布陣とするアクション型の攻撃的サッカーを標榜。GKから細かく丁寧にボールをつなぎ、ウイングの突破力を活かす戦い方だ。

 そのスタイルを持ち込んだのは横浜からやって来たピーター・クラモフスキー監督。新指揮官はギリシャのパナハイキやオーストラリアのメルボルン・ビクトリー、オーストラリア代表、そして横浜など数々のクラブでコーチを歴任してきた。そして上記の4つのチームで監督を務めていたのが、横浜のアンジェ・ポステコグルー監督だ。

 新指揮官は戦い方に関して「(横浜と)非常に似たようなものになると思います。先ほど話した通り、攻撃的でアグレッシブであって速いサッカー」と"横浜式"を明言している。
 
 前置きが長くなったが、清水の選手たちは横浜と同じような攻撃的な戦いを体現しようとはしているが、ビルドアップでのミスが目立つうえに、ウイングの突破力は横浜と比べると劣っている感は否めない。戦術浸透度はまだまだで、それは今季の公式戦の4戦全敗という結果からも分かるだろう。

 再開初戦の名古屋戦後には金子翔太が次のように語っていた。

「自分たちが守備のブロックを構築したときに、少しズレのようなものが生まれてしまって、立て続けに2失点を食らってしまったのは、ゲーム運びと守備の部分でもう一度見直さなければいけないと思います」

 もっとも、ポステコグルー体制1年目の横浜も戦術の体現に苦心。ミスからの失点は多く、最終順位も12位と奮わなかった。ただ、そういう状況でも横浜はポステコグルー監督に2年目の指揮権を託し、悲願のリーグ制覇を成し遂げたのだった。

 その意味では今季、「降格なし」のルールが採用されたのは、清水にとって追い風なのは間違いない。今季を戦術の落とし込みに費やし、来季以降に勝負を懸ければいいのだから。だからといって、清水が来季以降に"横浜式"を体現できるのだろうか――。
 

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