【岩本輝雄】攻守で非の打ち所がないサンフレッチェ。なかでも際立つ存在が…

2020年07月07日 岩本輝雄

守備戦術はますます洗練されていると思った

中断前の開幕戦に続き、ヴィッセルとの再開初戦も3-0の完封勝利。攻守両面の充実ぶりは素晴らしいね。(C)SOCCER DIGEST

 いよいよJ1が再開された。7月4日に2節の計9試合が行なわれ、各地で熱戦が繰り広げられた。そのなかで最も印象的だったのが、敵地でヴィッセルを3-0で下したサンフレッチェだ。

 2月下旬の開幕戦では、アントラーズにも3-0で勝利。スタンディングのトップに立ち、2試合を終えて6得点・0失点と、攻守両面で非の打ち所がない成績を出している。とりわけ、守備の安定感は際立っているよね。

 ヴィッセル戦はポゼッションで相手より下回ったけど、劣勢を強いられていたわけではない。むしろ、相手にボールを"持たせている"ように見えた。自陣バイタルエリアの前で潰せばいいから、それまではどうぞご自由に、という感じかな。攻められていても、どこか余裕がある。慌てていない。ボールを奪うべきポイントがはっきりしていて、そこに誘い込むのが上手い。守備戦術はますます洗練されていると思った。

 プレシーズンのキャンプを見に行った時、城福監督はレアンドロ・ペレイラやドウグラス・ヴィエイラといった外国人選手に対しても、"二度追い"とか守備のタスクをみっちりと教え込んでいた。あくまでも僕の印象だけど、外国人選手にここまで徹底して要求する監督って、あんまりいないと思う。でも、城福監督は違う。一切の妥協を許さない。その指導力の高さは、例えば右サイドで縦横無尽に動き回って、守備も精力的にこなすハイネルのプレーでも証明されているはず。

 そして攻撃に出れば、チャンスをしっかりと決め切る勝負強さが光る。開幕戦で1得点のレアンドロ・ペレイラは、ヴィッセル戦では2ゴール。得点源として頼もしい仕事ぶりを見せているよね。

 鋭いカウンターを繰り出せば、ボールを回しながら隙をうかがうこともできる。相手からすれば、本当にやっかいなチームだよ。
 
 試合巧者で、状況に応じて柔軟に戦うことができる。その中で、ボランチの青山の存在は大きいと思う。常に顔が上がっていて、360度を見渡しながら、的確にボールを配給する。余計なことはしない。シンプルなパス捌きで、チームのリズムを整える。

 派手さはないかもしれないけど、でも一番効いている。一つひとつのプレーに迷いがないから、相手も簡単に飛び込めないし、捕まえづらいと思う。時間の作り方も絶妙で、キープしながら味方とチームを良い状態にする。まさに"味のある"選手だよね。

 青山のような経験豊富な実力者に加えて、計算できる助っ人、森島や大迫といった活きのいい若手もいる。成長著しい川辺や荒木のさらなる飛躍も楽しみ。今季加入の浅野も気になる選手。自慢の走力で果敢に相手の背後を突けば、ディフェンスの意識も高いし、迫力がある。今後、最注目のひとりだ。

 成熟された戦術と豊富な戦力。しっかりと結果も出ているだけに、選手たちも自信を深めているはず。今季のサンフレッチェは手強そうだね。

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