【柏】クリスティアーノをマテウス・サヴィオに代えて激変。今週の横浜FC戦と川崎戦で活きるのは…

2020年07月06日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

ポゼッション率は札幌戦の46.2%に対し、FC東京戦は54.6%

FC東京戦で先発したマテウス・サヴィオ。チャンスには絡めなかったが、高度なテクニックを駆使してあまりボールを失わなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 札幌との開幕戦で2アシストを決めたクリスティアーノに代わり、FC東京との再開初戦では右サイドハーフにマテウス・サヴィオが起用された。この入れ替わりにより、柏のサッカーは大きく変わった。

 データサイト『Opta』によると、ポゼッション率は札幌戦の46.2%に対し、FC東京戦は54.6%。ダイナミックなカウンターから複数得点を奪った開幕戦とは打って変わり、再開初戦では丁寧なパス回しが目立った。

 もちろんクリスティアーノをM・サヴィオに入れ替えた影響だけではないが、半ば強引でもドリブル、クロス、シュートに持ち込む前者に対し、まずは足もとで受けてからテクニックを活かす後者のほうがボールロストはかなり少ない。

 実際にFC東京戦後に染谷悠太は「クリス(クリスティアーノ)にはクリス、サヴィオにはサヴィオの良さがある」と前置きしたうえで、「サヴィオはどっちかと言うと、クリスみたいに裏に抜けるというよりかは、足もとでしっかりボールを扱えるので、そこでひとつ起点を作りながら、相手陣地深くまで進行して行くというチームとしての狙いだった。押し込める場面もあったし、その時間でいかに点を取るかを練習からまたしっかりみんなでやっていきたい」と述べる。やはり右サイドハーフの入れ替えは、戦術的変化に影響した采配のひとつだった。
 結果だけを見れば札幌戦は4-2の勝利でFC東京戦は0-1の敗戦と、右サイドハーフの起用法に明暗が分かれた。ただ、堅守速攻のFC東京に対し、もしも仮にクリスティアーノが出場していたら果敢に仕掛けてボールロストし、より多くのカウンターを食らっていたのではないかと、柏の担当記者として筆者は少しヒヤっとする。

 クリスティアーノが悪いという意味ではなく、前述の染谷の「それぞれの良さがある」と同感で、FC東京戦にはM・サヴィオのほうが適切だったという見解である。確かに負けているが、流れのなかからの失点リスクが大きく減ったと思うからだ。実際の失点はセットプレーからだった。

 ネルシーニョ監督は「FC東京戦はサイドから崩しにかかるシーンが多かったので、ハーフタイムに選手たちには『サイドからの崩しもOKだけど、中央をもう少し攻めていこう。ミカ(オルンガ)をターゲットにもう少しボール入れよう』と話をした」という。そのような局面でサイドから中央寄りに位置取り、細かいプレーを得意とするのはM・サヴィオだ。

 もしかしたらクリスティアーノがFC東京戦に欠場したのは何か他に理由があったのかもしれないが(詳細は不明)、そんな理由に関係なく、カウンターが効いた札幌戦でクリスティアーノ、ポゼッションをしていたFC東京戦でM・サヴィオを起用したことは、ふたつのゲーム内容、染谷と指揮官のコメントで、なるほど合点がいく。

次ページ相手にボールを持たれれば、柏はカウンターが活きる。そこで力を発揮するのは…

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