選手権4強の矢板中央が再始動!異例の公式戦ユニホーム着用で紅白戦を開催した指揮官の想い

2020年06月20日 松尾祐希

インターハイ・栃木県予選の初戦が行なわれるはずだった6月13日に紅白戦を実施

「インターハイは日本一を取りにいくつもりでした」と語るキャプテンの坂本(左)。

 グラウンドに子供たちの明るい声が戻ってきた。

 新型コロナウイルスの影響で活動自粛となってから約3か月。栃木県にある矢板中央高が6月初旬からトレーニングを再開している。

 2月27日の政府からの要請により、学校は3月2日から休校。それに伴い、サッカー部も活動休止となった。自宅から通う生徒は練習を行なえず、寮生も健康を維持する範囲で自主的に身体を動かす程度。自粛期間中の4月3日にはプリンスリーグ関東の開幕延期が決定し、同26日には今年8月に群馬で開催予定だったインターハイの中止も知らされた。特に夏の全国大会を失ったことは選手たちに大きな衝撃を与え、落胆せずにはいられなかった。当時の様子をキャプテンの坂本龍汰(3年)はこう振り返る。

「昨冬の高校サッカー選手権では準決勝で敗退(0-1で静岡学園に敗戦)したので、今年のインターハイは日本一を取りにいくつもりでした。なので、チームとしてのモチベーションがかなり高かったんです。でも、開催が白紙になってこのままどうなるのかなと…」

 消えたインターハイ。サッカーができる当たり前の環境が失われた中で、選手たちは現状を飲み込むしかなかった。
 
 気持ちを切り替えて迎えたチームの再始動――。「プリンスリーグ関東も残っているし、冬の選手権で日本一を目指す」とキャプテンは気持ちを新たにし、6月1日から全部員が揃ってトレーニングをスタートさせた。

 ただ、公式戦の再開は9月以降で、練習試合も当面は組めない。その中でモチベーションを維持させる作業は難しく、チーム内での競争意識は自ずと下がってしまう。そこで髙橋健二監督が動いた。インターハイ・栃木県予選の初戦が行なわれるはずだった6月13日に、3年生全員で公式戦ユニホームを着用した上で紅白戦を行なったのだ。

 その理由について指揮官は言う。

「公式戦の延期や中止によって、子供たちは目標を失いかけていました。特に3年生は最後の1年。今はまだ選手権が残されているとはいえ、ただボールを蹴るだけではなかなかモチベーションを上げるのは難しいなと感じていました。だからこそ、雰囲気を作るためにインターハイ初戦と仮定して紅白戦を行なったんです」
 

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