なでしこを再び世界一に――「WEリーグ」発足でプロ化した日本の女子サッカーはどう変わる?

2020年06月09日 西森彰

欧州ビッグクラブが女子チームの強化に乗り出し、欧州各国が世界を席巻

なでしこリーグを牽引してきたINAC神戸(左/鮫島彩)とベレーザ(右/清水梨紗)。WEリーグでもこの2強がリーグを牽引するか?写真:川本学

 6月3日、日本サッカー協会(以下JFA)は、女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の来秋開幕を発表した。一連の新型コロナウイルスに関わる社会情勢もあって、約2か月延期し、拡大予防措置としてオンラインでの発表となった。

 日本最初の全国女子サッカーリーグ(L・リーグ)は、企業チーム主体のアマチュアリーグとしてスタートした。その後の不況下で企業チームが次々に消滅。その後はリーグ存続と選手の受け皿を確保しながら、ピラミッドで言う、底辺部分の拡大に努めてきた。現在では、2部制のなでしこリーグに、東西に分かれたチャレンジリーグまでを含めると32チームによる、実質的な3部制のリーグとして活動している。

 そして、ピラミッドの頂点をより高みに引き上げるため、さらに上のカテゴリーが創設される。それが、来秋に開幕するWEリーグ。日本女子サッカー界で、初めてのプロリーグだ。これは、なでしこジャパンが優勝した2011年の女子ワールドカップ・ドイツ大会以降、激しさを増した女子サッカーの潮流に、取り残されないための挑戦でもある。

 男子で成功したメソッドと潤沢な資金、環境を使って、ビッグクラブが女子チームの強化を進めると、欧州勢はあっという間に世界を席巻した。昨年の女子ワールドカップ・フランス大会でも、優勝はアメリカに譲ったものの、ベスト8に残った他の7チームは全て欧州のチーム。日本も、2015年のカナダ大会では勝利したオランダに、雪辱を許した。

 なでしこリーグも、日本の女子サッカーの発展と、代表強化に貢献してきた。高倉麻子監督の率いる現代表も、主将の熊谷紗希、先月、アメリカ移籍が決まった籾木結花ら一部を除き、選手のほとんどを国内組が占めている。問題は、欧州勢をはじめ、他国の強化体制がさらに上を行っていることで、とりわけ劣勢を強いられているのは、選手を活かす環境作りだ。
 

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