「あの時の鹿島は…」現役Jリーガーが認めた「“3連覇”09年アントラーズ」の最強ぶり

2020年06月08日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

説得力のある佐藤の「3連覇は本当に難しい」

09年シーズンの成績は、20勝6分8敗、51得点・30失点。隙のない戦いぶりで前人未踏のリーグ3連覇を成し遂げた。(C)SOCCER DIGEST

 意外な結果だな、というのが率直な感想だった。

 5月28日発売のサッカーダイジェスト本誌では、「Jリーグ歴代最強チーム」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に"歴代で最強だと思うチームトップ3"を選んでもらった。その選者50人の回答結果をポイント形式で集計してランキング化。堂々の1位に輝いたのは、史上初の両ステージ制覇で"完全優勝"を成し遂げた「02年磐田」だった。

 中山雅史や高原直泰、名波浩、藤田俊哉ら錚々たる面子が揃い、完成度の高いサッカーを披露していた「02年磐田」の1位はある程度、予想はついた。この"最強"チームに対抗するのは、断トツの主要タイトル20冠を誇る鹿島アントラーズで、なかでも唯一の"リーグ3連覇"を達成した「09年鹿島」は、その盤石の強さと偉大な功績を考えれば、少なくともトップ3には入ると見ていた。

 だが、結果は4位だった。1位の「02年磐田」に続く2位は、初代チャンピオンの「93年東京V」で、3位はサイコロの"5の目"をした特異な中盤の形で一世を風靡した「01年磐田」。リーグ史上でひとつの金字塔を打ち立てた「09年鹿島」はこの3チームに及ばなかったが、だからといって、「09年鹿島」の出色の強さが強烈なインパクトを残したのは、紛れもない事実だろう。
 
 それは、「09年鹿島」を"最強チームトップ3"に選んだ現役Jリーガーの選出理由を見ても容易に分かる。佐藤寿人(千葉)は「3連覇は本当に難しい」と、極めて難易度の高い偉業について言及。佐藤自身、広島時代の12年、13年、15年と3度のリーグ優勝を経験し、連覇はできたが3連覇は果たせなかっただけに、ある意味、その言葉には説得力がある。

「僕も広島時代にリーグ連覇を経験しましたが、3連覇は本当に難しい。周囲から徹底的にマークされますし、勝てば勝つほど日程は厳しくなりますからね。そうした"壁"をすべて越えなくちゃいけない。シーズンを戦っていけば浮き沈みもあります。その点で、鹿島はフロントを含めて明確なビジョン、哲学を持っていた点が大きかったんだと感じます」
 

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