石川直宏が選ぶJ歴代最強チーム「『もう勘弁してくれ』。そんな絶望感を味わった相手が…」

2020年05月30日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

当時の高原さんはFWとして突出していた

組織として完成度が高かった02年の磐田。FC東京をホームで6-1と圧倒している。写真:サッカーダイジェスト

 5月28日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代最強チーム」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に"歴代で最強だと思う3チーム"を選んでもらっている。ここでは、元日本代表の石川直宏(現FC東京のクラブコミュニケーター)の"最強チームトップ3"を紹介しよう。

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「石川直宏が選ぶ"最強チームトップ3"」
1位:2002年のジュビロ磐田
2位:2006年の浦和レッズ
3位:1993年のヴェルディ川崎

 1位は、02年にリーグ戦で完全優勝を果たした磐田。(FC東京は)ホームで0-2、アウェーでは1-6でやられて、高原(直泰)さんには計6ゴールも奪われた。惨敗を喫したアウェーゲームは、僕が現役時代に「もう勘弁してくれ」と絶望感を味わった試合です。

 僕は1対1で仕掛けてリズムを作るタイプですが、当時の磐田と戦うと"動かされている感じ"でした。言ってみれば「やらせておけばいいよ」みたいな。上手い具合に放っておかれるんですよ、でも、自由にはやらせてくれない。組織的にしっかりと網が張られていて、向こうの間合いになったら奪われる。実際、どこでボールを受けても、ほとんどスペースはありませんでした。はめられている感じですよね。

 奪ったボールを流動的に動かされ、あっという間にピンチになって高原さんに決められる。試合巧者ではなかった当時のFC東京との間には、大きな力の差がありました。少なくとも、僕はそれを一番感じた試合でした。

 当時の高原さんはフォワードとして突出していましたね。パワー、技術はもちろん、スペースへの抜け出しも抜群。止める術がなかった印象です。
 
 守備面で凄かったのがハットさん(服部)です。僕がドリブルで仕掛けた時に「やらせておけばいい」と言ったのはハットさん(笑)。ハットさんはピッチ上の監督で、そういう選手がいるチームは主体的に戦える。当時のFC東京にはハットさんのような司令塔がいなかったので、余計、ハットさんのプレーが印象に残っています。

 2位に選んだ06年の浦和にも錚々たるメンバーがいました。なかでもポンテ、ワシントンの両外国籍選手は強力で、チーム力も高かったです。当時のFC東京は3-5-2システムとの相性が悪くて、その布陣で戦う浦和との試合は苦戦しましたね。

 ボールの動かし方が上手く、各選手のポジショニングも優秀。そのなかでワシントンを生かし、(鈴木)啓太やウイングバックの能力を引き出していたのがポンテでした。リズムがひとり違いましたね。嫌な選手でした。技術が高い選手は、簡単にはたける時ははたくし、キープしてほしい局面では確実にキープする。ポンテがまさにそうで、さらにひとりでシュートに持ち込める大胆さもある。なんでもできるアタッカーでしたね。

 嫌な選手と言えば、三都主(アレサンドロ)もそうでした。浦和戦で対峙した時、こっちは僕と(徳永)悠平のふたりではめようとするんですが、それでも捕まえられない。動きが読めなくて、苦労しました。
 

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