ハンデを抱えて後半戦を迎える香川真司――巻き返しを図るドルトムントの力となれるのか!?

2015年01月31日 マルクス・バーク

アジアカップからの帰還にニュースバリューは…。

香川はドルトムントとともに捲土重来を果たせるのか。 (C) Getty Images

 長かったウインターブレイクが終わり、後半戦がスタートしたブンデスリーガ。
 
 降格圏の17位とまさかの低迷を極めたドルトムント、そのなかで本来のプレーを見せられず精彩を欠いた香川真司。ともに巻き返しはあるのか――。ドルトムントに太いパイプを持つマルクス・バーク記者が考察した。
 
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 アジアカップを終えた香川真司の帰還に、ニュースとしての価値がなかったようだ。ドルトムントに密着して事細かに取材している地元紙『ルールナハリヒテン』が香川について伝えたのは、Bチームのテストマッチに出場したという事実だけだった。
 
 香川が帰ってきたことを、あるいはUAE戦でのPK失敗について、ユルゲン・クロップ監督はどう語ったのか――、そうした記事は一切なかった。
 
 昨夏、ドルトムントがマンチェスター・ユナイテッドから香川を連れ戻すと発表した時、ファンは熱狂に包まれた。その前にツイッターで広まった「#freeshinji」のアクションはドイツ国内でも大きな関心を呼び、そして香川のドルトムント復帰は実現した。
 
 ファンの期待に応えるように、香川は復帰初戦のフライブルク戦でゴールを決めた。しかし、それだけだった。いまでは、あの熱気も冷めてしまっている。
 
 いまこそ、香川には救世主としての働きが求められているだろう。順位表の下から2番目の17位で前半戦を折り返したドルトムントを救う働きが、だ。しかし、それが可能だと考えている人間はいるだろうか? 首脳陣からでさえ、そのような発言は聞かれない。
 
 ドルトムントがいま必要としているのは、健康で状態の良い、つまり質の高いパフォーマンスを保証する香川だ。前半戦の香川はそうではなかった。クリエイティビティも、テンポも、守備の安定感もなかった。
 
 クロップにとって、守備はアグレッシブなプレッシングから始まる。良かった時の香川は、その守備でも非常にポジティブに際立っていた。
 
 ところが、イングランドから戻ってきてからは、プレッシングで貢献できなくなってしまった。クロップ率いるドルトムントの代名詞、「ゲーゲンプレッシング」もほとんど実践できていない。
 
 クロップは約1週間のスペイン・ラマンガの冬季合宿で、そのゲーゲンプレッシングの練習を徹底した。チームの生命線であるその機能性を取り戻すことは、間違いなく合宿での最重要課題だったが、成果は上々だったようだ。
 
 クロップも選手たちも手応えを語り、後半戦に向けていい準備ができたとラマンガ合宿を振り返った。
「僕たちは、前半戦よりずっとずっと進歩している」とヌリ・シャヒンが語れば、クロップは、昨夏の合宿よりもずっと有意義な練習ができたと言う。もちろん、アジアカップに出場した香川は、この合宿には参加できなかった。

次ページ降格回避が至上命題。香川は貢献できるのか。

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