進展しないメッシの契約延長問題。発言力が増したエースにバルサは不安を募らせる…【現地発】

2020年05月12日 エル・パイス紙

給与削減問題でフロントの姿勢に苦言

給与削減の声明は選手を代表してキャプテンのメッシが発表した。(C) Getty Images

 リオネル・メッシは昨夏のコパ・アメリカを境にどこか変わった節がある。シャイで、人前で話すことが苦手だった彼が、ブラジルで開催された同大会ではチームメイトに自ら積極的に声をかけるなどしてキャプテンシーを発揮。またメディアの前でもいつになく饒舌で、準決勝でそのホスト国に敗れる(0-2)と、南米サッカー連盟とレフェリーの汚職を激しい口調で非難した。

 2018年にハビエル・マスチェラーノ、アンドレス・イニエスタが立て続けに退団し、同年夏からキャプテンに就任したバルセロナにおいても、そこまで急激ではないが、かなり前から影響力を発揮するようになっていた。

 それが顕著に表れたのが給与削減を巡る一連のクラブとの話し合いだ。キャプテンのとしてフロントとの交渉の窓口となり、当初から削減を受け入れる姿勢を示す一方で、まずはチームメイトの意見を聞く必要があると提言。同時に高額のサラリーを隠れ蓑に稚拙なマネジメントをごまかそうとするフロントの姿勢に苦言を呈することも忘れなかった。

 全員の同意を取り付け自身のインスタグラムを介して発表した声明においても、給料削減の受け入れ、クラブスタッフへの金銭的な支援に加えて、フロントへの疑念を声高に訴えている。
 
 ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は2015年夏に3冠という絶好のアシストをチームから得て再選を果たして以来、メッシをはじめとする選手たちを満足させることに躍起になってきた。問題なのはそれでも彼らのフロントへの不信感が拭えないことで、役員6人の辞任を起因とした理事会の再編も、そうした状況にさらに拍車をかけている。

 実際、昨年11月にもメッシ自身が「クラブにとっても僕たちにとっても、安定があったほうがいい。こうも変化ばかりしていては、それは望めない」と警鐘を鳴らしたばかりだった。

 メッシとバルサの現行契約は2021年夏に満了するが、この4月と5月の間に退団の意思をクラブ側に伝えれば、一方的に契約を解除できる条項が存在するのは周知のとおり。逆に言えば、メッシが何もアクションを起こさなければそのまま自動的に残留となるが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響でシーズンの終了日が定かでないことがさらに問題を複雑にしている。
 

次ページメッシがピッチ内での孤立を負担に感じ始めるようだと…

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