英国の熟練記者が選ぶJ歴代ベスト11「小野とピクシーは絶対に外せない。ただ日本のジョージ・ベストは…」

2020年05月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

娯楽性を重要視。まずはお詫びからスタート

赤く囲っているのが「MY BEST PLAYER」。プラストウ記者は迷わず“妖精”をセレクトした。

 なんと難しいチャレンジだったか。

 正直言って、一番悩んだのは外国籍選手3人だった。レオナルド、ジョルジーニョ、マルキーニョス、ビスマルク、ラモン・ディアス、ピエール・リトバルスキ、サルバトーレ・スキラッチ、アンドレアス・イニエスタなどなど、錚々たる面々から誰を選べばいいのか頭を抱えた。日本人選手も同様である。カズ(三浦知良)、柱谷哲二、ラモス瑠偉、前園真聖、藤田俊哉、中澤佑二、楢崎正剛、中村俊輔、中村憲剛、遠藤保仁、阿部勇樹らを入れるかどうかで最後まで悩んだが、断念するに至ったのだ。

 こうした難易度の高いセレクションに臨むにあたっては、まずお詫びからスタートしなければならない! ご容赦願いたい。

 今回の選考で私がこだわったのは、娯楽性に富んだチームを完成させること。フットボールにはやはり、観ていてドキドキするような感覚が欠かせないからだ。ファンを確実に楽しませることのできるJリーグ・ベスト11が理想形。一方でそのエンターテインメントを実現させるために、チームを安定させ、前線のインスピレーションを促進するような存在も必要だろう。いわば監督になった気分で、そうしたところに留意してみた。

 
 まずは2トップから行ってみよう。阻止不可能だったパトリック・エムボマは選ばれて然り。サイズがあり、しなやかで、鋭く、なおかつテクニックもずば抜けていた。1997年はエムボマのベストシーズン。Jクラブの守備陣は彼の前になす術なしで、どんな対策を練っても無駄だった。人としても温かくフレンドリーで陽気な人気者。フットボールへの愛情に溢れ、そうしたスタンスがプレーのすべてを輝かせていた。

 パートナーは日本のトップムードメーカー、中山雅史とした。生粋のストライカーであり、可能性が低くとも走ることを止めず、ボールを決して見失わない男だ。エムボマのような身体能力は有していなかったが(誰も持ち合わせていないが)、最終的には確実にゴールを射抜いてみせた。この2トップを止めるのは至難の業だろう。

 まさに日本のジョージ・ベストだったのが若き日の前園。彼をここに入れられなかったのは悔やまれるが、今回はサブに収まってもらうほかない。

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