森保ジャパン再検証<FW編>カタール行きの鍵を握る“大迫依存症”からの脱却…解決策のキーマンは?

2020年05月02日 元川悦子

大迫の起用によって新2列目トリオが躍動。攻撃の迫力も格段に向上

大迫が主軸を担うセンターフォワードだが、エース依存は避けたい。FW候補の顔ぶれは、左上から時計回りに、鎌田、大迫、南野、上田、鈴木、永井。写真:サッカーダイジェスト写真部

 2018年9月に発足した森保一監督率いる日本代表は、2019年のアジアカップ(UAE)やコパ・アメリカ(ブラジル)を経て、2022年カタール・ワールドカップ・アジア2次予選の戦いに突入した。その後、国際Aマッチは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現在はストップしている状況にあり、今後どうなるのかまだ先は見えない。いずれ来る活動再開に向けて、森保監督がこれまで、どのようにチーム強化を進めてきたのか、ポジションごとに検証していく。(文●元川悦子/フリーライター)

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 日本サッカー界において「絶対的FW」は長年、求められてきた存在だった。釜本邦茂、カズ(三浦知良/横浜FC)、中山雅史(沼津)、高原直泰(沖縄SV)、岡崎慎司(ウエスカ)と過去に何人か傑出した点取り屋がいたが、2018年ロシア・ワールドカップでベスト16進出の原動力となった大迫勇也(ブレーメン)は、偉大な先人たちを超える能力があると評されている。

 自身2度目の世界舞台では「大迫、半端ないって」が流行語になるほどの絶大なインパクトを残したストライカーは、前線でボールを収め時間を作り、味方のゴールをお膳立てできる一方で、なおも自ら得点を奪えるマルチな選手。それだけの人材はそうそう出てこない。ゆえに、森保一監督も大迫を絶対的エースに据え、ここまで起用し続けてきたのだ。

 ただ、指揮官も最初から大迫に依存しようと考えていたわけではなかった。初陣となった2018年9月シリーズではあえてロシアで軸を担った欧州組を呼ばず、小林悠(川崎)や浅野拓磨(パルチザン)を招集し、コスタリカ戦(吹田)では小林を起用。FW陣のバリエーションを増やそうという意欲を見せていた。

 しかし、翌10月シリーズで大迫が加わると、堂安律(PSV)、南野拓実(リバプール)、中島翔哉(ポルト)の「新2列目トリオ」が躍動。タテへの推進力も一気に高まり、攻撃の迫力が格段に上がったのだ。

「タテに行く選手が多いので、僕のところでしっかりと落ち着かせないとチームとしても苦しくなる。今は勢いよくガンガン行ってもらうことが一番だと思うので、これを続けながら自分がしっかりコントロールできればいいかなと思いますね」と大迫は自分のやるべきことを明確に見据えていた。確実な状況判断とメンタル的な余裕が、フレッシュな攻撃陣に大きなプラスをもたらしたのは間違いない。
 

次ページアジアカップで大迫の重要性が再認識される一方で、オプションの模索も開始されるが…

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