「みんなサッカーが巧すぎて…」。プロ18年目の石原直樹が振り返る"衝撃の時代”

2020年05月01日 隈元大吾

最初のターニングポイントは…

今季Jリーグのオープニングゲームとなった浦和戦で先制弾。石原は幸先のいいスタートを切った。写真:サッカーダイジェスト

 今季、石原直樹が12年ぶりに湘南ベルマーレへカムバックした。2003年にプロのキャリアをスタートさせた湘南(当時J2)でそこから6年を過ごしたのち、大宮アルディージャ、サンフレッチェ広島、浦和レッズ、ベガルタ仙台と、複数のクラブを渡り歩いた。昨季までのプロ17年間で残した成績は、J1・J2通算422試合出場、106得点である。

 だが、プロになった当初から順調なキャリアを積んだかと言えばそうではない。

 もとより石原は、高校時代まで年代別代表に選ばれたこともなければ全国大会に出場したこともない、いわば無名の選手だった。湘南との縁に導かれて高崎経済大附高卒業後にプロとなり、1年目こそJ2で17試合に出場したものの、その多くは途中出場で、さらに同カテゴリーで2年目は3試合、3年目も8試合の出場にとどまった。
 
 のちの飛躍につながるひとつの転機は、プロ4年目に辿れた。

 06年、前年の怪我の影響もあって出遅れた石原は、開幕から3か月余り公式戦から遠ざかっていた。そんな彼がある意味幸運だったのは、その間、チームのパフォーマンスが不安定だったこと。結果的に、シーズン途中の監督交代が石原にとっては良い流れを掴むきっかけとなった。

 6月に就任した菅野将晃監督の下、この指揮官の初陣となったアウェーのサガン鳥栖戦でいきなり石原はスタメンに抜擢された。以降も先発で使われた彼は前線での献身的なプレーでチームを支え、結果を残していった。

 「菅野さんのおかげで、試合で自分のプレーを出せるようになりました」

 あるときそう振り返ったように、石原はこのシーズンのJ2で9得点をマークすると、同じくJ2で翌07年は12得点、08年には18得点を挙げ、チームの順位を引き上げる原動力となった。そして、湘南もJ1昇格を視界に捉えるようになるのだった。
 

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