「途中交代16回はリーグ2番目」香川真司はなぜ輝きを失ったのか? スペイン人記者に訊く

2020年04月29日 アレハンドロ・アロージョ

ここ15試合で先発はわずか6試合

開幕当初は好調だったものの、徐々に調子が下がっていった香川。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 サラゴサは昨夏、ビクトル・フェルナンデス監督の強い要望を受けて香川真司の獲得に踏み切った。ファンの間では、新入団選手としてパブロ・アイマール(2006年夏に入団)以来のムーブメントが起き、その活躍に期待が集まったが、開幕直後に輝きを放ってからそのパフォーマンスは完全な尻すぼみ状態にある。

 今シーズンのラ・リーガ2部において最初の15節で12あったスタメン出場が、続く15節で6と激減している。しかも特筆すべきは、フル出場が3試合(いずれも序盤)しかない点で、途中交代が15回というのはアルバセーテのダニ・オヘダの16回に次いでリーグで2番目の多さだ。

 この数字が示唆しているのは31歳になった香川が、2010年夏にヨーロッパに渡ってから10年近くの歳月が経過し、第一線でプレーしてきたことによる勤続疲労を起こしつつあることだ。香川のプロ意識の高さはチーム内外でも評判だ。ピッチに立っても自らの役割を全うしようと高い献身性を見せている。とはいえ、全盛期と比べて運動量やプレーエリアの縮小からくるパフォーマンスの低下は紛れもない事実である。
 
 香川の最大の持ち味は2ライン(DFとMF)間でボールを呼び込んで、攻撃を加速させたり、前線をかき回したりプレーにある。スモールエリアでも局面を打開するための状況判断力、プレービジョン、アジリティー、パスセンスを高い次元で併せ持っており、自らフィニッシュに絡むこともできる。しかしその良さをサラゴサで発揮したのは開幕してから最初の1か月半だけ。それはここまで2得点・1アシストという数字にも表われている。

 要因はいくつかある。まず一つ目は周囲のプレーリズムに追いつけなくなっている点だ。ラ・リーガ2部はタフなリーグだ。ガツガツ当たり合うエネルギッシュさはある意味で1部をも上回る。そんななか、香川のスキルはチームでもトップクラスの部類に入るが、そのアイデアを具現化するためのフィジカルが周囲の選手に比べて不足している感は否めない。

 新型コロナウィルスの感染拡大による中断前、最後にスタメン出場を果たしたラシン・サンタンデール戦(第30節)でも、V・フェルナンデス監督が全選手に求めるハードワークや守備のタスクをこなすのに苦労している姿が見られた。
 

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