元ブラジル代表のカフーが「詐欺への加担」で全財産差し押さえに!英雄の身に何が起こったのか?【現地発】

2020年04月25日 リカルド・セティオン

昨年12月に16年続いた施設が閉鎖

詐欺への加担容疑で財産差し押さえとなったカフー。本人は潔白を主張しているが――。(C) Getty Images

 ブラジル代表で歴代最多の148試合に出場し、キャプテンも務めたカフーは3度のワールドカップ決勝(1994、1998、2002年)でプレーし、そのうちの2度(1994、2002)で世界チャンピオンに輝いている。まさしくセレソンのスターであり英雄だ。

 ローマ時代には中田英寿らとともにスクデットも勝ち取っている。いつもにこやかな笑顔を絶やさない男だが、残念ながら最近は災難が付きまとっている。

 現役引退後、カフーは自身が生まれ育ったサンパウロの郊外に「フォンダソンカフー」(カフー基金)という施設を作り、貧しい子供たちとその親に食と医療と教育を与えてきた。そこで助けられてきた人々はのべ1万5000人にも上る。しかし2017年頃から基金のスポンサーが減り、運営が難しくなってきた。それでもカフーはどうにかこの事業を続けようと金策に走っていた。

 2018年のロシアW杯ではブラジル代表のスポーツディレクターという名誉な話が舞い込んできた時にもそれを断り、カタールW杯のアンバサダーに就任した。そちらのほうが、報酬が良かったからだ。
 
 しかし2019年7月、基金は行き詰まり、銀行への借金が焦げ付いた。運営に当たっていた会社は破産となり、裁判所はカフーが所有していた5つのマンションを取り上げて、その他15の不動産を差し押さえた。それでも基金をなくせば食事も勉強もできなくなる子供が出ると、運営を続けたが、12月にはとうとう資金が尽き、職員にも給料の支払いができなくなったため、16年続いた施設は閉鎖となってしまった。

 カフーの不幸はそれだけではない。昨年の11月にはまだ30歳だった息子のダニーロを亡くしている。友人たちとサッカーをしていた最中に心臓発作で倒れての急死だった。カフーは打ちひしがれており、旧知の仲だった私もなんと声をかけていいかわからなかった。

 そして、いままた問題が降りかかっている。数日前にブラジルの消費者庁がカフーの銀行口座をすべてブロックしたのだ。理由は「詐欺への加担」だった。
 

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