「クラブ運営が危険視されている…」日本人駐在員が見たイタリア・サッカー界の混迷を極める現状とは?

2020年04月20日 松尾祐希

感染拡大の異常なスピード…ロックダウン後の生活とは?

3月8日に行なわれたセリエA第26節のユベントス対インテルは無観客試合で行なわれた。この節を最後にセリエAも中断となった。(C) Getty Images

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。4月7日に東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡へ緊急事態宣言が発出され、16日には対象範囲が全都道府県に拡大された。その影響を受け、様々な業種が営業活動の自粛に追い込まれている。

 "コロナ禍"の波はサッカー界にも押し寄せ、2月21日に開幕したJリーグは翌週から延期。現時点で再開の目処が立っておらず、厳しい状況が続いている。その流れは日本だけに止まらず、ロックダウン中の欧州ではCLや各国のリーグが軒並み開催延期を決断。再開に向けて少しずつ動き出しているが、収束を見通せない現状では今後の流れも不透明になっている。

 各メディアで様々な報道がなされ、人々は刻一刻と変わる状況をつぶさに見守っているが、感染拡大が深刻な欧州は実際にどうなのか? とりわけ医療崩壊も報じられたイタリアでは、日本では想像できない程の状況になっている。

 多くのプロ選手が愛用するカンパリ社のレガースを扱う株式会社INFINITOの現地駐在員によると、何より凄まじかったのは感染拡大のスピードだという。

「2月中旬に(イタリア北部の)ロンバルディア地方で新型コロナウイルスが蔓延し、3、4日で一気に数人から100人に感染が広がったんです。これはまずいなという感じもありましたが、この時点では一地方での話だろうと見ている人がほとんどでした。セリエCで北部にあるクラブは試合を見合わせたりしていたのですが、2月の最終週の時点でセリエAはまだ無観客で試合をやっていたんです。ここまで感染が拡大するという認識がサッカー界ではなかったのかもしれません。ただ、感染のスピードが想像を超えて異常に早かったんです。いくつかプロの試合が延期になったりしていたなかで、3月の1週目に街が閉鎖になりました」

 ロックダウン後は買い物を除き、家の外に出られない状況が続いている。生活を維持するために外出する際は、政府が用意する用紙に自宅と行き先の住所を記載。申告した場所以外の場所に出向いた際は罰金が課せられる。

 全てのアクティビティが止まっており、イタリアのクラブも活動を停止。現在、各選手は各自でトレーニングを行なっている。駐在員によると、各クラブのフィジカルコーチが現在は自宅で行なえるトレーニングメニューを渡しているという。

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