「バルトメウ会長はまるで“王様”メッシのように…」6人の理事が一斉辞任したバルサ内紛の舞台裏【現地発】

2020年04月13日 エル・パイス紙

内紛の引き金となった「バルサ・ゲイト」事件

バルトメウ会長(手前左)のワンマン化が進むなか、バルサはゴタゴタが続いている。(C)Getty Images

 フットボールが中断している間に、バルセロナのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長のワンマン化が進行している。まるでピッチ上のリオネル・メッシと言わんばかりに、フロント内で王様のような振る舞いを見せているのだ。

 バルトメウの野望は2つ。任期が満了する2021年夏までにチャンピオンズ・リーグのタイトルを奪還すること。そして「エスパイ・バルサ」を軌道に乗せることだ。しかし、ただでさえ巨額投資を要するカンプ・ノウの改修も含めたこの大型再開発プロジェクトの実行に伴うリスクは、新型コロナウイルスの影響で一段と高まっている。

 自らの野心の実現のためにバルトメウが選んだ道は、メッシをはじめとする選手たちと心中することだ。フロントの中にそのやり口に不満を示す理事が出てきて、関係が悪化すれば保身のために犠牲にすることも厭わない。

 先日、理事6人が一斉に辞任したが、14年1月にバルトメウ政権が誕生して以来、袂を分かつことになった副会長の数は実に7人に達する。SDもアンドニ・スビサレッタを皮切りにロベルト・フェルナンデス、ペップ・セグーラ、エリック・アビダルと4人が入れ替わった。
 
 今回の内紛の引き金となったのが、通称「バルサ・ゲイト」、そして選手たちの給料カットを巡る騒動だ。バルサ・ゲイトとは契約企業と結託してSNS上で現体制擁護、政敵批判のコメントを拡散させるようと働きかけていた疑惑問題。辞任に追い込まれた元副会長のエミリ・ルソーらは疑惑解明のためにバルトメウに対し、外部機関による調査を主張した。内部監査に引っかからないようにしたとしか考えられないと、そのサービスに対する対価として13回にわたって支払いが分割されていた点をとりわけ問題視した。

 しかしバルトメウ側が出した結論は、調査を外部機関に依頼するものの、最終的には自らも構成メンバーの一員である内部の監査チームがチェックするという玉虫色のものだった。反対派の6人の辞任により、バルトメウ側に有利な"判決"が下される可能性が高まったのは間違いない。
 

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