「なるべく非公開には…」自粛ムードのなか、湘南が練習・選手取材OKのスタンスを貫く理由

2020年03月27日 佐藤亮太

浦和ではビデオ通話アプリを使った取材に

湘南ではマスクの着用を求めたうえでオープンな練習・選手取材が可能となっている。写真:佐藤亮太

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、Jリーグ各クラブは感染症予防対策に追われている。そのひとつが取材態勢の変更だ。

 例えば、J1の浦和レッズは公開日には練習取材は認められるが、選手取材は禁止。そのため、ビデオ通話アプリを使った取材を行っており、このアプリを導入した他クラブもある。

 また練習取材・選手取材ともにOKだったJ2の大宮アルディージャは更なる感染症拡大に伴い、今月中旬から、練習公開日を週2日とし、電話での選手への取材に変更した。

 また練習を一切、見せない完全非公開を敷き続けるクラブがあれば、掲載予定のない不要不急の取材者に対し、練習場への立ち入り自粛を求めるクラブなどそれぞれだ。

 そんななか、J1湘南ベルマーレはファン・サポーターの見学はNGだが、非公開練習以外、練習取材・選手取材ができる。取材がままならない"行き場"を無くしたメディアにとって湘南は別天地となっている。

 湘南はどんな取材態勢なのか。練習場は相模川の河川敷にある通称・馬入グラウンド。ここで練習を取材する。終了後、グラウンドから土手を越え、約200メートル歩いた管理棟と呼ばれる建物で待ち、選手に取材する。

 拡大防止のため、各クラブが取材自粛・変更のなか、湘南はなぜ、練習取材・選手取材OKのスタンスを続けているのか?

 まず、思い当たるのは取材するメディアの数。浦和では今月25日(水)、新聞、テレビ、ラジオなど20人以上が集まった。それに対し、24日(火)の湘南には記者が4人。天候や曜日の兼ね合いはあるがメディアが少ないことはそれだけ感染リスクが少ないことでもある。しかし、訪れるメディアが少なくても完全非公開を敷くクラブはある。

「ファン・サポーターの方が練習を見られない分、メディアの方に情報を伝えてほしいです。選手に感染予防について注意喚起をしていますし、スタッフもじゅうぶん気を付けています。記者のみなさん、しっかりマスクをして取材していただけるので……。そこはもう信頼関係ですよ」(湘南広報)
「そこはお互いに気を付けてやるしかないことですから」と湘南・水谷尚人社長。クラブ側のメディアに対する信頼の大きさが伝わる。
 

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