「ホンダは何のために来たんだ?」「勘違いも甚だしい」本田圭佑の動画はなぜ“炎上”したのか?ボタフォゴ番記者が嘆いたワケ【現地発】

2020年03月04日 リカルド・セティオン

本田が掲げた「2つの挑戦」とは?

登録手続きが遅れ、まだ公式戦のピッチに立っていない本田。3月7日のフラメンゴ戦でのデビューが有力視されている。(C)Getty Images

 空港に押し掛けるサポーター、数日で売り切れる4番のユニホーム……。本田圭佑がリオに来てから、ボタフォゴ・サポーターの盛り上がりは凄まじかった。

 本田自身も、SNSを使って頻繁にトレーニングやピッチ外の様子を発信し、期待は高まるばかりだった。

 だがここにきて、元日本代表MFは"オウンゴール"を決めてしまったようだ。

 その原因は、彼が「youtube」の自身のチャンネルにアップした動画にある。リオに到着した時から現在までをドキュメンタリー風にまとめたもので、本人が現在の心境を語っている。

 その言葉によると、33歳のサムライ戦士は、「ふたつのこと」に挑戦しているという。ひとつは、キャリアの終わりに近づいているというイメージを払拭すること。そして、東京オリンピックに出場することだ。

 ボタフォゴに加入して以来、本田はいいイメージを作り上げてきた。誠実で、モチベーションが高く、エネルギッシュ。練習には常に真剣に取り組み、日常生活も規律正しく、食生活もアスリートらしい。ポルトガル語も積極的に身につけようとしている。

 しかし、熱狂的に歓迎したボタフォゴのサポーターにとって、この動画で発した言葉はどうにも納得できなかったのだ。

「ホンダは、ボタフォゴのためにここに来たのではないのか」

 動画を見たブラジル人の多くは、そんな感想を持った。自分のイメージを変えるため、日本でのオリンピックに出場するために、ボタフォゴでプレーするのか。つまり、彼にとって俺たちの愛するクラブは、ただの"手段"に過ぎないのか……。
 
「ボタフォゴを勝利させるためにここに来た。我々が聞きたかったのはそんな言葉だ。それなのに、彼はオリンピックの代表入りをするためにやって来たという。正直言ってがっかりだ」

 そう嘆いたのは、ボタフォゴに精通するフラヴィオ・バラタ・メッロ記者だ。

「本田は自分のやるべきことを知っている。彼を高く評価しているし、きっとボタフォゴのために最高の力を出してくれるだろう」

 新監督のパウロ・アウトゥオリは、そう言って会見ですかさず助け舟を出したが、後の祭り。本田の動画に対するコメントは、否定的なそれで溢れている。

 それも仕方のないことだろう。ボタフォゴはいま、数多くの問題を抱えている。組織的にも、経済的にも、そしてピッチでの成績も、すべてがうまくいっていない。

 そんななかで、本田は救世主のように思われていた。きっとどうにかしてくれる。彼のデビューとともになにかが変わる――。ファンは、何をおいてもボタフォゴの再建を第一に考えてほしかったのだ。

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