【アジアカップ】グループ1位突破への難関 イラク戦を展望!

2015年01月16日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

イラクのカウンターに対し、裏のスペースへのケアが重要。

イラク戦では、アンカーの長谷部をはじめとする守備陣のスペースケアが求められそうだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 長閑で気候的にカラッとしていた港湾都市からオセアニア有数の世界都市へ。グループリーグ第2戦の舞台となるブリスベンは、初戦を戦ったニューカッスル以上にジメジメしていて湿気がある。少し走っただけでも汗が吹き出し、体力を吸い取られるような環境に、香川も警戒を強めていた。
 
「ブラジル(・ワールドカップ)でもこういう湿度のなかで苦労したイメージがある。気候に慣れるのは大変ですね。体力的に消耗しやすいし、湿度が高いのは苦手です。ヨルダンに勝ったイラクはパレスチナ以上に難しい相手になると思います」
 
 見逃せないのは、イラクが初戦もブリスベン・スタジアムで戦っていることだ。大会前の合宿からグループリーグの第2戦まで大きな移動もなく、ブリスベンで調整している彼らのほうに、"地の利"があると見るべきだろうか。いずれにしても、「(パレスチナ戦とは)まったく別の試合になる」(長谷部)。
 
 ヨルダン戦を見るかぎり、イラクは個々の能力が比較的高い。得点源でベテランのマフムード、司令塔のタリク、突破力に秀でたAh・ヤシーン、「アジアのベイル」と評されるアリ・アドナン、スピーディーなイスマイルなど侮れない実力者が何人もいる。カウンターの精度はパレスチナの比ではなく、"一発"で決め切る殺傷力は日本の脅威となりそうだ。
 
 したがって、アンカーの長谷部を含む守備ブロックがイラクのカウンターを防げるかは、注目ポイントのひとつだ。パレスチナ戦のように右SBの酒井高、CBの森重、GKの川島が軽率なミスをすると、そこを突かれて失点という最悪の展開もありうる。
 
 選手たちのコメントから判断すれば、引き分けでも十分のイラクは「おそらく引いてくる」(長谷部など)。「日本がボールを保持する時間が長ければ長いほど、前になんとなく行ってしまうことがある」(森重)が、そうなると、ボールを奪われた際にアンカーもしくは最終ラインの裏のスペースを間違いなく狙われる。森重もそれは承知しており、「90分間通して後ろはバランスを見ながら、人を揃えながらプレーするのが大事。無失点に抑えるのが最低限の仕事です」と気を引き締めていた。

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